読者から「ビールって缶やビンはあるのに、どうしてペットボトルはないの?」という質問がマイナビニュース編集部宛に届いた。筆者はビールジョッキ1杯飲みきれないほどの、筋金入りの下戸なので、「あってもなくても飲みきれないからなあ」と思うのだが、ほかならぬ大切な読者からの質問だ。

では、そもそもなぜビールのペットボトルはないのだろうか。コーラやサイダーのペットボトルは存在していることから、炭酸は関係ないだろう。それならアルコールなのか? しかし、たまにワインのパッケージがペットボトルになっているものもあった気がする……。

ダメだ! わっかんねえ!!

ということで……、

きっちりと理由を教えてもらうべく、「キリンビール 横浜工場」(神奈川県横浜市)に行って聞いてきた。

今回質問に答えてくれたのは、キリンR&D本部パッケージング技術研究所の池庭愛さん。笑顔がまぶしすぎて、目を見て話すことができなかった気がする。

ビールのボトルは存在していた!?

福田: 「本日はよろしくお願いします」


池庭さん: 「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」


福田: 「読者から質問があったのですが、ビールのペットボトルは存在するのですか?


池庭さん: はい。海外のビールなどではあります。実は日本でも、1980年代にはあったんですよ


福田: 「えっ、あったんですか!? 見たことないですよ」


池庭さん: 「そうおっしゃると思ったので、当時の容器をお持ちしています。ジャン!」


福田: 「めちゃくちゃ準備いいな」


福田: 「形が奇抜ですね! 思ってたボトルと違う」


池庭さん: 「そうですね。ペット以外のプラスチックを使ったボトルもあったんですけど、当時はいわゆる"容器戦争"と言われていて、奇天烈な形の容器が世間をにぎわせていたようです」


福田: 「時代を感じられるものが多い。では、なぜこれらのボトルが現在は残っていないんですか?」


池庭さん: 「その理由は、ビールが非常に酸素に弱いからなんです


福田: 「んん? ペットボトルでもフタがちゃんと閉まっていれば大丈夫なんじゃないですか?」


池庭さん: 「実はフタで密閉されていても、ペットボトルは瓶や缶よりも酸素を通しやすい性質があるんです」


福田: 「酸素がペットボトルを通り抜けてしまう……?」


池庭さん: 「つまりですね、ペットボトルの目に見えないミクロのすき間を通り抜けて、空気中の酸素がわずかに入ってきちゃうんです


福田: 「はあー、それでビールはペットボトルに適していないってことになるんですね」


池庭さん: 「普通のペットボトルにビールを入れても、おそらくもって1カ月ぐらいかと思います。ちなみに、缶や瓶のビールの賞味期限は9カ月ですよ」


福田: 「全然違った」


ビール用のペットボトルはありえるのか

福田: 「結論としては、ビールのペットボトルはありえないってことでよろしいでしょうか」


池庭さん: 「待ってください! 実はですね、キリンには酸素からビールを守る技術がもうあるんです。ペットボトルに特殊なコーティングをすると大丈夫なんです」


福田: 「ええ……、それなら最初に言ってくださいよ! 完全に締めようとしてました」


池庭さん: 「現在キリンでは、オンライン通販『DRiNX』内で『KIRIN Brewery Owners Club(キリン ブルワリー オーナーズ クラブ)』というサービスを行っています。そこで提供されるのが……、これです!」


福田: 「急に宣伝っぽくなったのが気になりますが、確かにビールがペットボトルに入ってる!」


福田: 「これがその特殊なコーティングを施したボトルなんですね」


池庭さん: 「このコーティングのおかげで、『KIRIN Brewery Owners Club』ならではのこだわりの味と容器の形が実現できたんです」


福田: 「これでスポーツドリンクみたいにゴクゴクいけますね。酒好きにはたまらないんじゃないんですか?」


池庭さん: 「ま、まあ、そのままでも楽しめますが、これは専用のサーバーを使えば、おうちでも本格的なビールが楽しめるんですよ! クリーミーな泡で週末のホームパーティーも盛り上がること間違いナシです」


福田: 「へえ……(そもそもホームパーティーしないなあ)」


池庭さん: 「……。実際に入れてみると、飲食店のサーバーで作れるようなクリーミーな泡が乗ったビールが飲めるんですよ! ほら!」


福田: 「ほんとだ! 本格的な生ビールだ! 家にあったら楽しそう」


池庭さん: 「そうでしょう」


生ビールと普通のビールの違いって何?

福田: 「私自身が下戸なのでビールのことはあまり詳しくないのですが、そもそも生ビールって何が生なんですか?


池庭さん: 「いい質問ですね。まずビールというものは、容器に充填する前にろ過という工程があります。そのろ過というのは、ビールを造るときに必要な酵母というものを取り除くことを指すのですが、このときに取りきれなかったビール酵母の発酵を防ぐために加熱処理を行います」


福田: 「だんだん分かってきました。その加熱処理が行われてないものが"生"ってことですね?」


池庭さん: 「そうです! ろ過の技術が進歩し、ビール酵母を十分に取り除けるようになったので、加熱処理をしていないビールを"生ビール"と呼ぶようになりました


福田: 「つまり、加熱処理をしていなければ、缶や瓶に入っていても"生ビール"ってことですか?」


池庭さん: 「その通りです。とにかく加熱処理を行っていなければ全て"生ビール"です。『キリン一番搾り』も生ビールですよ」


福田: 「なるほど、そういうことだったのですね。ちなみに最後にお聞きしますが、ビールを1番おいしく飲むにはどうしたらいいんですか?」


池庭さん: 「私のイチオシはですね! ビールをおいしく飲むには、そのビールに合った温度や炭酸の強さ、そして泡が大事と言われていますが、私はきめの細かいクリーミーな泡が乗っているのが1番好きです


福田: 「あれ重要だったのか……。分かりました、今度試してみます! 本日はどうもありがとうございました」



なぜペットボトルのビールはないのか。その答えは、酸素に弱いビールはペットボトルに不向きだったということだ。池庭さんによると、現在は技術が進歩して鮮度が保てるようになっており、先ほど紹介した「KIRIN Brewery Owners Club」もその1つだ。

「KIRIN Brewery Owners Club」は会員制サービスで、現在は新会員の募集は行っていないが、今後募集を再開のする方向で検討している。「ペットボトルのビールを飲んでみたい」と思う人は、ぜひ次回の募集の際にこのサービスを利用してみてはいかがだろう。