米Adobe Systems(以下、Adobe)は3月21日(米国時間)、米Microsoftとの提携強化を発表した。Adobeが同日発表した「Adobe Experience Cloud」を、Microsoftのクラウドサービスである「Azure」上で利用できるほか、共同ソリューションも提供する。両社は2016年9月に戦略的提携を発表していたが、具体的な提携内容は明らかにしていなかった。

今回の提携内容は、Adobeの年次デジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2017」の基調講演で発表された。

提携が強化された3項目(図版提供 Adobe)

発表された共同ソリューションは3つある。1つ目は、顧客の嗜好性に基づき、パーソナライズされたコンテンツをクロスチャネルで自動配信する「Adobe Campaign」と、マイクロソフトのCRM製品「Dynamics 365」の統合だ(上図左)。

具体的にはAdobeがDynamics 365のAPI(Application Programming Interface)利用してコネクタを開発し、双方でのデータ連携を可能にした。例えば、Dynamics 365に格納されている特定セグメントを抽出し、Campaignを利用してコンテンツ配信するといったことが可能になる。

2つ目は、複数のマーケティングチャネルから顧客データをリアルタイムに収集/分析する「Analytics」と、MicrosoftのセルフサービスBIツール「Power BI」の連携だ(上図中央)。「データ視覚に富んだPower BIと、分析に特化したAnalyticsとの連携で、マーケティングに精通していない社員でも、キャンペーン施策の効果を、視覚的に理解できるようになる」(Adobe関係者)という。

3つ目は、AzureとExperience Cloudの連携だ。AdobeはAzureをExperience Cloudの推奨クラウドプラットフォームとする。一方、MicrosoftはAzureで提供する機械学習の開発基盤「Cortana Intelligence Suite」や、SQL Serverによるインテリジェントサービス提供する。

なお、両社は共同ソリューションの基礎になるデータモデルについても、共同開発していくとのことだ。

Adobeでエグゼクティブバイスプレジデント兼CTOのアベイ・パラスニス(Abhay Parasnis)氏(左)と、米Microsoftでクラウド・エンタープライズグループ エグゼクティブバイスプレジデントのScott Guthrie(スコット ガスリー)氏(右)

発表に登壇した、Adobeでエグゼクティブバイスプレジデント兼CTO(最高技術責任者)を務めるアベイ・パラスニス(Abhay Parasnis)氏と、米Microsoftでクラウド・エンタープライズグループ エグゼクティブバイスプレジデントを務めるScott Guthrie(スコット ガスリー)氏は、「(今回の提携で)われわれは、カスタマーエンゲージメントのソリューションを、エンド・ツー・エンドで提供できる」と、そのメリットを強調。今後も共同ソリューションを開発/提供していくことを明言した。