自賠責保険の保険料が、2017年4月から値下げされることになりました。9年ぶりの値下げです。値下げの理由は、自動車の安全技術の発展などにより事故が減ったことが影響しています。そこで今回は、安全運転技術の現状と、自賠責保険にまつわる基本的な事についてお知らせしたいと思います。

自動車の安全技術の現状

まずは安全技術の実用化の現状について見てみましょう。先進技術を利用してドライバーの安全運転を支援するシステムを搭載した自動車を「先進安全自動車(ASV)」といいます。現在実用化されているASV技術には次のようなものがあります。

・追突被害軽減ブレーキ ・レーンキープアシスト ・ESC(横滑り防止装置)
・駐車支援システム ・ふらつき警報 ・ACC(定速走行・車間距離制御装置)

こうした技術の発達が車の事故を減らしたことが、自賠責保険の保険料の値下がりに繋がったというわけです。

自賠責保険は必ず加入しなければならない強制保険

次に自賠責保険の基本についておさらいです。自賠責保険(=自動車損害賠償責任保険)とは、公道を走るすべての自動車やバイク(原付含む)に加入が義務づけられ、「強制保険」とも呼ばれています。交通事故の被害者が最低限の補償を受けられるように、被害者救済を目的として国が始めた制度です。

加入するには、自動車を購入したり車検を受けたりする時に、代理店となっている販売店や修理工場で一緒に加入手続きするのが一般的ですが、損害保険会社や保険代理店、郵便局、コンビニ、インターネット等からも手続きできます。

なお、2017年4月以降の実際の保険料は次のようになっています。全車種平均で6.9%値下げ、たとえば自家用乗用車(沖縄県と離島を除く)では一般的な2年契約で現行より2,010円値下げの2万5,830円です。

2017年(平成29年度)4月1日以降が契約始期の車に関する自賠責保険料の早見表

うっかり忘れると、厳しい罰則も!

自賠責保険の証明書を車やバイクに積んでいないと、それだけで30万円以下の罰金です。また、自賠責保険未加入の場合は、50万円の罰金または懲役1年以内の刑事罰が科せられ、道路交通法違反の点数が6点となり、ただちに免許停止処分となります。とくに車検のない250cc以下のバイクや原付バイクは有効期限切れに注意しましょう。

自賠責保険の補償範囲

自賠責保険は、人に対する損害を補償します。支払い限度額は、被害者一人について以下の限度額までとなっています。

自賠責保険の補償範囲

自賠責保険では不足する保障を補うのが民間自動車保険

自賠責保険だけでは、例えばガードレールや信号機へ追突した時の対物補償や、相手の車両への損害等の補償はカバーできません。また、人身事故での実際の損害額も、自賠責保険の補償限度範囲を大きく上回ることも少なくありません。

こうした不足分を補うのが民間の自動車保険やバイク保険の役目です。

もしもの事故が起こった時、被害者やその家族まで含めた人達のその後の人生を大きく変えてしまうことになると同時に、自分が加害者となってしまった場合にも、その後の人生が一変してしまう例も少なくありません。

この機会に、ご自身が加入中の自賠責保険や民間の自動車保険の内容を、あらためて確認してみては如何でしょうか。

<著者プロフィール>

牧山真一

保険見直し本舗 テレマ事業本部 対面事業部中部エリアマネージャー。1979年神奈川生まれ。2009年保険見直し本舗入社後、テレマーケティング事業部にてコールセンター運営に携わる。コンサルティングアドバイザーとしても関東を中心に活動。「最適な保険選びのパートナー」として、これまで個人の保険相談から法人に至るまで数多くの保険見直し、保険相談に対応。

※写真は本文と関係ありません