日本ではキャリア向けからSIMフリー市場にシフト

先の歴史にもある通り、モトローラはかつて世界的に強いブランド力を持ち、先進国でも知名度が高い。そこでレノボは、自社が強いブランド力を持つ中国や新興国などではレノボブランドでスマートフォンを投入しているが、欧米などでは既に知名度があるモトローラブランドを活用するなど、市場に合わせてブランドを使い分ける戦略をとっている。

日本でも、かつてモトローラブランドで携帯電話やスマートフォンがいくつか投入されてきたことから、モトローラブランドを主体として、市場開拓を進めていく方針のようだ。実際レノボブランドの端末投入は、法人向けのものや、グーグルのAR技術「Tango」を搭載したスマートフォン「Phab2 Pro」などごく一部にとどまっている。

レノボは日本でも、モトローラブランドを主軸に置いた販売戦略を実施。レノボブランドの端末はグーグルのAR技術「Tango」を搭載した「Phab2 Pro」などごく一部にとどまる

だがかつてモトローラが端末を供給していた大手キャリアは、現在iPhoneを主軸とした販売戦略を採っており、Androidスマートフォンの数は大幅に減らす傾向にある。しかも現在、日本におけるモトローラの知名度は決して高いとは言えないことから、キャリア向けのビジネスに再び入り込んで販売を伸ばすことは容易ではない。

そこでレノボは、急激に成長しており、しかも自社ブランドでの製品投入がしやすい、SIMフリースマートフォン市場にターゲットを絞り、モトローラブランドでのスマートフォン事業再構築を進めている。実は、モトローラ・モビリティがSIMフリースマートフォンを市場に投入したのは2014年からであり、比較的早い段階からこの市場に参入しているのだ。

とはいえ、最初に日本で発売されたSIMフリースマートフォン「Nexus 6」は、販路がグーグルやワイモバイル経由と限られていたし、2015年に発売された普及モデル「Moto G」の第3世代モデルや、2016年発売の「Moto X Play」も、販路を一部のECサイトやMVNOなどに限定していたことから、あまり目立つ存在とは言えなかった。日本におけるモトローラブランドでのスマートフォン展開を本格化したのは、昨年7月に発売した「Moto G4 Plus」からといっていいだろう。

SIMフリー市場への参入は後発に見えるモトローラだが、実は2014年より参入しており、「Moto G」の第3世代モデルなどを継続的に投入している