こうしたiPadの販売低迷と、今現在iPad Air 2が足りないという2つの状況には乖離がある。需要はあるが、これに対して供給が応えられていないのだ。

前述の信学会のような日本の教育機関の都合で言えば、2月~3月にはiPadをまとまった台数で確保しておきたかったわけで、米国を含む市場でもiPadの供給不足が起きていることから、Appleは2017年に入るあたりから、もう少しiPad Air 2を製造しているべきだったように見える。

果たしてiPad Proに10インチサイズの新モデルは投入されるのか?

iPadに関しては、ホームボタンを廃止する10インチサイズの新モデルに関する噂なども流れているが、その製造が始まった兆候は見られていないという。

一方で3月に年次刷新が行われるとの情報もあり、iPad Air 2が廃止もしくは格下げされ、初代iPad Proがそのポジションに収まる可能性もある。

その上で、A10世代のプロセッサを搭載するiPad Pro 2登場となるのが妥当な線だろう。ちなみにiPad Air 2が4月3日以降に入荷する予定と示されていることから、ラインアップには残る可能性が高い、と見ている。

ただし、iPad Proの刷新も、iPadそのものが新しい機能や役割を人々の生活の中で提案し獲得することとは異なる。

例えば、MacBook Airや13インチのMacBook Proと、iPhone 7 Plusを使っているユーザーが、iPad Proを持つ意味を見出すことができるか? この問いをAppleが用意できるかどうかが、iPadの販売台数を上向かせる条件となるだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura