ここで、少し気になるのが、低迷中のiPadの販売台数との乖離だ。
iPadの四半期ごとの販売台数は、2014年第1四半期の2,604万台を頂点に、3年間下降トレンドを描いている。2017年第1四半期は1,308万台を販売し、下げ止まり感がでてきたが、それでも2012年を下回るレベルに落ち込んでいる。
iPadが売れない原因は前述の通り、予想以上に耐用年数が長いデバイスだったことが原因だ、と分析できる。もちろんこれは、ユーザーにとっては非常に素晴らしいことだ。
メール、SNS、ビデオ再生、ウェブ閲覧といった基本的なインターネット活用は、2011年発売のiPad 2ですら、すんなりとこなしてくれる。既に最新OSにアップデートすることはできなくなったが、6年間きちんと動き続けてくれる希少価値があるデバイスなのだ。
デバイスのデキが良すぎること、そしてiPadが新たな用途を提案できていないことから、買い換え動機が起きない。これがiPadセールスを押し下げている要因だ。2年周期を作り出したiPhoneとは違うのだ。
Appleは1年前の2016年3月にiPad Pro 9.7インチモデルをリリースし、PCからの代替という新しいコンセプトをiPadに与えたことは、AppleがiPadに対して、新たなミッションを与えようとしていると解釈できる。
2016年には併売中の旧モデルを除き、AppleはMacBook Airを廃止した。これにより1,000ドル未満のポータブルMacの新製品はラインアップから姿を消し、1,000ドル以上はMac、1,000ドル未満はiPad、という棲み分けを顕在化させようとしている。おそらくこの体勢は、iPadの販売が伸びようが伸びまいが、続けていくことになるだろう。
iPadのポジションを明確化することは、将来的なiPadのセールスにはプラスになると踏んでいるはずだ。しかしまだその成果を見られずにいる。