有人オペレーターを残した理由

このディスプレイには「T-Connect」と呼ばれるトヨタのテレマティクスサービスを搭載している。DCMと名付けられた専用通信モジュール(KDDIのLTE回線を使用)を使い、音声対話サービスの「エージェント」、専用アプリ、万一のときにアラーム通知や位置追跡を行うセキュリティサービス、定期点検などの案内をメールで送信するリモートメンテナンスサービス、事故や急病などの際に緊急通報を行うヘルプネットなどを用意してある。

興味深いのは、音声対話サービスを搭載する一方で、オペレーターがサポートを行うサービスも残していることだ。その理由について山田氏はこう解説してくれた。

ユーザーのことを考えて有人オペレーターを残したと語る山田氏

「トヨタのユーザーには高齢の方も多くいらっしゃいます。また現時点ではエージェントの性能は完璧とは言えないのも事実です。こういった状況を考えると、最後は有人オペレーターだと思っています。オペレーターは外部に委託していますが、もちろん人件費は相応に掛かります。さらには問い合わせが集中する時もあります。しかしIT+AI+人というのがトヨタの考えですので、今後もオペレーターは継続していきたいと思っています」

アプリについては現在、20種類ほどを用意しているとのこと。始まったばかりのサービスということもあり、スマホと比べれば少ないが、筆者が9年前に最初にiPhoneを買ったときも似たような状況だった。オープンソースにしてスムーズな開発ができる環境を整えているそうなので、今後は急速に増えることだろう。

そこではぜひ、SNSとのつながりも実現してほしい。現状でも最新ニュースなどが逐一ディスプレイに表示されるけれど、たとえば個人のスマホのディスプレイに現れるメッセージは、SNS関係がほとんどという人も多いはず。開発時はSNSがここまで普及するとは考えていなかったそうなので、こちらも今後に期待だ。