税金が還付される(戻ってくる)税制のひとつに「医療費控除」があります。ただ、年間10万円超というのは意外にハードルが高く、入院や治療に時間がかかる病気などをしないと医療費を10万円超も払うことはありません。しかし、2017年1月1日から導入された「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」なら、ドラッグストアで販売されている薬の購入でも税額控除を受けることができます。

セルフメディケーション税制って何? 従来の医療費控除とどう違う?

「セルフメディケーション税制」とは、健康診断などを受けて健康管理に努めている人が、ちょっとした身体の不調を市販薬などで自ら手当てするためにスイッチOTC医薬品(医療用から転用された医薬品)を購入し、その費用が年1万2,000円を超えるとき(8万8,000円が上限)、超える分の金額がその年分の総所得金額から控除されるというもの。申告者本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族が購入した医薬品の金額も合計できます。

これまでの医療費控除との違いをまとめたのが下の表。控除額がこれまでの医療費控除は10万円超なのに対し、セルフメディケーション税制は1万2,000円というのが利用しやすくなった最大のポイント。ただし医療費控除は受けるための条件はありませんが、セルフメディケーション税制を利用するためには健康診断などを受けている必要があります。

医療費控除とセルフメディケーション税制の違い

対象になる薬にはどんなものがある?

セルフメディケーション税制の対象になるスイッチOTC医薬品とは、医師によって処方される医療用医薬品からドラッグストアで購入できる医薬品の転用されたもの。リストを確認してみると下の表にあるように、CMなどでおなじみの薬も多く含まれていて、対象になっているものは1,601品目もあります(2017年2月14日現在)。

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は1,600品目以上もある

対象になる医薬品は厚生労働省のホームページで「対象品目一覧」として公開されていますが、数が多すぎてわかりにくいと思う人も多いでしょう。そんなときは、下の共通識別マークが目印になります。すべてに入っているわけではありませんが、対象製品の多くに掲示されているようです。 ただし対象医薬品は随時、追加・削除が行われていますから、対象製品にこだわるならば購入時に店頭で確認すると安心です。

対象商品にはこのマークが付いている

控除の対象となる金額は、消費税も含め実際に払った価格。セール商品の場合は、値引き後の価格になります。