ITインフラの運用管理によるコスト高や人材不足が叫ばれる昨今、IT業界で異彩を放つのがNutanixだ。2009年にGoogle File SystemやOracle Exadataの開発メンバーらにより米国デラウェア州で創業し、現在は同カルフォルニア州サンノゼに本社を構えている。同社は、これまでグローバルで4600社、国内では350社に対し、製品の導入実績を誇っており、日本法人は2013年に設立した。今回、2016年11月に就任したニュータニックス・ジャパン合同会社 マネージング ディレクター 兼 社長の町田栄作氏に国内における事業戦略について話を聞いた。

町田 栄作(まちだ えいさく)

ニュータニックス・ジャパン合同会社 マネージング ディレクター 兼 社長

1987年にインテルに入社。以来、20年にわたって日本およびアジアパシフィック地域の営業やマーケティング、ビジネス開発で管理職を歴任し、2004年から取締役開発本部長を務める。
2006年にデルに入社し、アジア太平洋地域のコンピューティング&ネットワーキング統括本部長やエンタープライズソリューションビジネス統括本部長などを歴任。執行役員として顧客の課題解決を支援するエンジニアならびにセールス部門を統括するとともに、コーポレート・エグゼクティブ・ディレクターとして米デルの経営にも参画する。
2016年11月1日、現職に就任。

(以下敬称略)

社長就任に至った経緯を教えてください。

町田:デルに在職中の10年間はサーバ、ストレージ、ネットワーク、ソリューションサービスなどを含むエンタープライズ事業に従事し、その中でOpenStackやCephをはじめとしたオープンアーキテクチャを積極的に採用しています。NutanixとはXCシリーズのOEMで3年間ほど仕事をともにし、社長就任の話を聞いたときは自分なりに1つの方向性や戦略になじみがあり、フォーカスすべき部分については日本のマーケットで製品を浸透させていくことができるだろうと考えました。

また、デル時代にNutanixのサディーシュ・ナイル氏やアジアパシフィックを統括しているマット・ヤング氏など数人の従業員とは、デル時代に仕事をしていましたし、食事など仕事以外のところでも人的コミュニケーションがありました。マネージメント層だけでなく、技術、サポートに加え、年次イベントの「.Next」でも露出が増えていたため、Nutanixiの情報を得ることや活動の把握などについては困りませんでした。

さらに、デル以前は20年間インテルに在籍しており、そこで培ったエンタープライズ向けデータセンター(DC)、クラウド向けDC、ハイパフォーマンス向けDCなど、それぞれのDCが備える特徴やスピード、拡張性といった要求に対し、利便性や機動力をいかに持たせるかということに取り組みたいと思いました。

Nutanixが備えたアーキテクチャはx86サーバであれば基本的に稼働し、現存するハイパーバイザーは全方位でサポートしています。これだけ汎用性を有し、ベンダーニュートラルに動作できるソフトウェア100%のアーキテクチャを持つ企業は、Nutanix以外になく、将来性を感じました。

日本でのハイパーコンバージドの概況について教えてください。

町田:IDCのデータによると、ハイパーコンバージドの2015年~2020年までの年間平均成長率(CAGR)は48%が見込まれています。2016年の地方公共団体における、Nutanix製品の採用件数は2015年比で約20倍に拡大しており、IT管理者が慢性的に考えている「人手をかけずに利便性を向上する」「オペレーションの簡素化」を可能とする環境を提供しています。

これまで、われわれの製品を採用している顧客はVDIや仮想化など一般的なワークロードでしたが、現在ではミッションクリティカル、ハイパフォーマンスコンピューティングなど業種業態を問わない状況となっています。割合としては仮想化、VDI化されていない一般的なワークロードがメインですが、ミッションクリティカルなワークロードも拡大傾向にあります。