2足歩行ロボットによる格闘競技大会「ROBO-ONE」において、初の自律部門となる「ROBO-ONE auto」の第1回大会が2月25日、バンドー神戸青少年科学館(兵庫県神戸市)にて開催された。記念すべき第1回大会には、16体のロボットがエントリー(うち3体は棄権)。人間の操縦無しに、自律制御のみで動くロボットが強さを競った。

自律ロボットが戦う「ROBO-ONE auto」

ROBO-ONE autoはどんな競技?

2足歩行ロボットによるバトル競技の草分けと言えるROBO-ONEは、2002年2月に第1回大会が開催された。初めは歩くのもやっとだったロボットが、この15年間で性能は大幅に向上。倒れても起き上がるのはもう当たり前。お互いに激しく動き回り、パンチや投げ技を出し合う、見応えのある試合が増えてきた。

そして今回のROBO-ONE autoである。ROBO-ONEを主催する一般社団法人二足歩行ロボット協会の西村輝一理事長は、「今までは運動性能を高めることをずっとやってきたが、そろそろ知能も入れたいと思った」と意図を説明する。

autoのルールは、従来のROBO-ONE本戦(区別のために、以下「操縦部門」は「本戦」と表記する)に準じている。手足の長さなど、機体のレギュレーションは本戦通りで、横方向への攻撃が禁止されているのも同じだ。ただし、重さについては、本戦が3kgまでであるのに対し、autoはセンサなどの搭載を考慮し、5kgまで許されている。

センサについての指定は特になく、何でも利用して構わない。ただ、ロボカップ小型リーグのような天井カメラなどは禁止されており、すべてのセンサを機体に搭載する必要がある。制御も基本的に搭載コンピュータで行うが、通信回線で繋がった外部のコンピュータが制御する、いわゆる"リモートブレイン"方式は許されている。

試合時間は、準決勝までが2分で、決勝戦のみ3分(今大会の場合)。有効な攻撃を決め、相手から先に3ダウンを奪った方が勝者となる。またダウンした場合は、10カウント以内に起き上がることができなければ、その時点でノックアウト負けだ。

記念すべき第1試合は「Metallic Fighter」対「AdamantAT」

自律バトルで必要な機能とは?

ROBO-ONEに限らず、初開催のロボット競技が面白いのは、勝つための定石がまだ無いため、参加ロボットのスタイルがバラエティに富んでいることだろう。大会が何回か行われると、"勝てるロボット"の姿が見えてきて、似たようなロボットが増えてきたりするものだが、初回は全員が手探り状態。このワクワク感は、初開催ならではだ。

とはいえ、基本的にautoで必要になる機能としては、大体以下に集約されるだろう。ロボットによっては、割り切って省略していた機体もあったが、これは最低限の機能なので、ちゃんと試合を成立させるためには、このくらいは実装しておくべきだ。

探索機能

何らかのセンサを使い、対戦相手を見つける。見つからなかった場合は、移動して探す必要がある。

攻撃機能

対戦相手を発見したら、接近して攻撃する。パンチ、キック、投げ技、捨て身など様々な攻撃方法がある。

転倒判定機能

攻撃を受けたり、バランスを崩したりして転倒した場合、それを自動で検出して起き上がる必要がある。

転落防止機能

リング外に転落すると1ダウンとなるため、移動時には転落を避けるための機能が必要となる。

自律制御の方式は、実にさまざま。まずコンピュータは、大きく分けて、ロボット用のコントローラ(近藤科学のRCBシリーズなど)だけを使い、モーションの分岐を活用する方式と、CPUボード(Raspberry Piなど)を搭載して、プログラムで制御する方式があった。またセンサとしては、カメラや各種測距センサ(PSD、ToF、超音波)が使われていた。

今回、現場ですべてのロボットを見る時間は無かったのだが、次ページにて、面白かったものをいくつかピックアップして紹介したい。