【レポート】

「保育園落ちた」親が国に訴え - 親は何に怒り、何を求めているのか

「#保育園に入りたい」。保育園に落ちた親たちなどが、こんなハッシュタグを付けて、思いのたけを綴るツイートが広がっている。このハッシュタグを広げた親らが3月7日、「みんなが保育園に入れる社会にするために」をテーマとしたイベントを、東京都・霞ヶ関の衆議院第2議員会館で開催した。

集まった参加者は100名以上。保活当事者に加え、保育園の専門家や超党派の議員も参加した同イベントの様子をレポートする。

100名以上の参加者が「#保育園に入りたい!」のカードを掲げた

日本の保育園は、どうしてこんなに入れないのか

イベントでは初めに「どうしてこんなに入れない? 日本の保育園」をテーマに、3人の保育の専門家が登壇。病児保育などを手がけるNPO法人フローレンスの駒崎弘樹 代表、日本総研調査部主任研究員の池本美香さん、AERAの元編集長で現在は朝日新聞総合プロデュース室のプロデューサーとして活躍する浜田敬子さんらが議論した。

左から、主催団体代表の天野妙さん、NPO法人フローレンスの駒崎弘樹 代表、日本総研調査部主任研究員の池本美香さん、AERAの元編集長で現在は朝日新聞総合プロデュース室のプロデューサーとして活躍する浜田敬子さん

保育園が足りない原因は、財源不足が大きいとのこと。駒崎さんによれば、子ども・子育てにかける国の予算(GDP比)は、出生率が2.0に近いフランスで2.85%。一方日本はわずか1.3%にとどまるという。「保育園に払えるお金もありません、保育士さんも低賃金でがんばってくださいねというのは無理な話」と、駒崎さんは語る。

そのためにも、政治に声を届けることは重要だろう。しかし、政策を実現するための社会運動も、保育に関しては継続しにくい現実があるという。「認可に通ったら待機児童問題を忘れ、次は学童保育問題、思春期にどう対応するかなど、子どもの問題はスパンが短くてすぐに移り変わっていく。働いている親も、働いていない親も、現在待機児童に困っている人も過去に困っていた人も、手を握り合って声を出さないと運動にならない」と訴えた。

「そもそも財源が少ない」と語る駒崎さん

また浜田さんは、世の中にいまだに残っている「子どもは家で育てるべき」という空気も、この問題に影響しているのではないかと指摘する。「育休を3年に延ばすという議論になった時に、女性活躍とは全然違う方向に行っていると思いました」と浜田さん。この意見について駒崎さんも、「男性側にも、女性は家で子どもをみているのが幸せだという意識を持っている人がいる」とコメント。「『3年間抱っこし放題』なんて言っている場合ではなく、それなら男性が抱いてください、夫婦2人の子ですよね、と声を大にしていかないといけない」と語り、会場からは拍手が沸き起こった。

浜田さんは「子どもは家で育てるべきという空気が根底の価値観としてある」と語った

さらに池本さんによれば、海外の保育にまつわる社会運動は「女性のため」ではなく「子どものため」と銘打ったものが多いとのこと。「年配の方の中には、『保育園はかわいそうな子が行く場所』『預かってくれる場所は子どもにとって良くないところ』というイメージを持っている人がまだまだいる。しかしフィンランドの保育園を視察したときには、『この保育園に預けるために働きたい』と思えるほど、環境が素晴らしいと感じた。日本でも、保育時間や保育の質について、きちんと考えなければいけない」。日本の保育園のイメージを変えていく必要もありそうだ。

池本さんは「日本の保育園のイメージを変えていく必要がある」と訴えた

保育園に落ちた"あと"の親の状況を可視化してほしい

このあと参加者は、「みんなが保育園に入れる社会にするために」をテーマにグループ討議を行い、最後にグループとしての意見を発表した。

グループ討議では、「認可保育園に入れた人、入れなかった人の間に大きな保育料の差があるのは不公平」「そもそも認証と認可の何が違うのか、理解するのも難しい。保育制度が複雑すぎる」「フルタイムで働いても保育園に入れず、週3日ほど働きたいと考えても、現状仕事がなければ入れない。どうすればいいのか」など、当事者の切なる思いが噴出した。

また参加者の中には保育士も。「預かり時間が延び、保育園の残業が増えることで、保育士になりたい人は減ってしまう」との意見に、グループからは、親の働き方も考えていかなければ、持続的な保育園の運営が難しいのではないかという提案もあった。

グループ討議には、当事者に加え、保育士などの参加もあった

また、みんなが保育園に入れるためには、正確な現状把握が必要だとする声も多くあがった。ある参加者は、「全国で待機児童などの基準を統一し、可視化してほしい。そして"待機児童"で終わらすのではなく、保育園に落ちた人がその後仕事を辞めたのか、育休を延長したのか、認可外に入ったのか……そういった現状も把握してほしい」と語った。

保活に取り組む女性の中には、認可園の入園は難しいと初めから諦め、入園申請すら出していない女性、いわゆる"3歳の壁"にぶつかり、幼稚園入園に切り替えて仕事を辞めた女性など、待機児童数では見えてこない、多くの当事者がいるという。正確な現状が把握できなければ、それに応じた対策を打つことはできない。早急な国や自治体の対応が求められている。

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