毎回異色の企画を連発して注目を集めているテレビ東京の深夜番組。1月からのクールも魅力的な作品が揃うが、『銀と金』(毎週土曜24:20~)のレギュラー、3月10日放送の『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(毎週金曜24:12~)第9話ゲスト、2月24日放送&3月4日放送の『山田孝之のカンヌ映画祭』(毎週金曜24:52~)ゲストと、今期の3番組に出演したのが俳優の村上淳だ。

途切れることなく精力的に活躍する村上だが、実は以前から「テレビ東京のドラマに出たい」と言っていたという。テレビ東京に魅力を感じるのはなぜなのか、また年齢による俳優としての考え方など、話を聞いた。

■村上淳
1973年7月23日生まれ、大阪府出身。ファッション雑誌『MEN'S NON-NO』などのモデル活動を経て、映画『ぷるぷる天使的休日』で俳優デビュー。以来様々な作品に出演し、映画『ナビィの恋』(99)、『新・仁義なき戦い。』(00)、『不貞の季節』(00)の3作品で、第22回ヨコハマ映画祭助演男優賞を受賞した。2017年は、映画『新宿スワンII』『PとJK』『Amy said』、ドラマ『北斗~ある殺人者の回心~』『バウンサー』などに出演。 撮影:宮田浩史

画面には、演技だけでなくその人が透けて見えてしまう

――今期話題のテレビ東京ドラマ・番組に3つも出られるということですが、まずはレギュラー出演の『銀と金』の印象を教えてください。こちらは、池松壮亮さん演じる森田鉄雄を支え、リリー・フランキーさん演じる銀二の信頼も厚い頭脳派の元検事・船田正志を演じてらっしゃいますね。

本当に、自分はまだまだだなと思わされた現場でした。僕は今43歳なんですけど、リリーさんをはじめレギュラー出演者たちのように、大袈裟じゃなくいろんなジャンルの中でトップの方々とできて、すごく色々なものをもらいました。まだまだだと思えるってことは、まだ余白もあるということとニアリーイコールなので、頑張ろうという気持ちになれましたね。

『銀と金』 (C)テレビ東京

――例えばどのような点で「まだまだ」と思われたのでしょうか。

リリーさんの圧倒的な説得力。あれはもう実人生で器が大きくないと、追いつかないですよ。やっぱりスクリーンやテレビで見ると、その人が透けて見えるということはよくありますよね。池松くんもリリーさんもゲストの方も、仕事を取っ払った時に実人生で信頼される方で、それはとても大事なんだなと思えました。もう、「芝居だけできればいいよね」ということじゃないでしょう? と。

池松くんは、もう単純に「この人、好きだな」って思えました。もう片思いでも、いいくらいだと。友達になれた気がしましたし。年齢関係なく、ちゃんとカメラの前で戦いたいなと思えました。俳優として上を目指せる、正しい負けん気の強さがないとダメだなというのも、学べたところですね。

池松くんが出るから「ずるい」

――それでは、『バイプレイヤーズ』はいかがでしょうか。どんな展開で出られるんですか?

本人役なんですけど、そっくりさんが集まっている村があって。そこにいる村上淳似の、村上淳という役です。ちゃんと、シリアスな流れです(笑)。『バイプレイヤーズ』はもう出たかったですし、遠藤(憲一)さんと、(田口)トモロヲさんとやれることも、(監督の)横浜聡子さんとやれるのも嬉しかったですね。

――もともと、出たいとおっしゃってたんですか?

僕はもう、プロデューサーにしつこく言いました。「僕ってこんなにしつこいんだ」と思ったくらいです。テレ東が続いてるから、現場で言えるんですよ。『銀と金』の撮影に入って、風の噂で『バイプレイヤーズ』の企画を聞いて、「どうしても出たい」と訴えました。

だって、池松くんは第2話に出るというじゃないですか。「悔しい! ずるいぞ!!」と(笑)。本当に、『銀と金』の現場で会うプロデューサーの方々に「お願いします!」「お願いします!」って勢いで頼みました。今回、そういう方は多かったと思いますよ。念願が叶いました。

――現場が続いたからこそだったんですね。『山田孝之のカンヌ映画祭』の印象はいかがでしたか。

実は、撮影したのは『カンヌ』が最初なんですよね。だからふと立ち止まった時に「あれ、これ全部同じクールじゃない!?」と気づいてびっくりしました。

『山田孝之のカンヌ映画祭』 (C)テレビ東京

『カンヌ』は一言で言うと、最高です。尖ったもので突き刺すのではなく、まろやかに包み込むような尖り方をしている。突き放しているようで、視聴者を一番包み込んでいるのは『カンヌ』かもしれないですよね。