3,500円から宿泊できるホテルと言うと、「安かろう悪かろう」とイメージする人もいるだろう。しかし、エントランスから広がる景色は隠れ家バーそのもの。「あれ、場所を間違えた!? 」と、ついキョロキョロしてしまうはずだ。そんなホテルが東京・銀座のど真ん中にある。

「THE PRIME POD 銀座 東京」のフロント。スタッフのシックでカジュアルな制服にも注目だ

ラグジュアリーなのにカジュアル

今回紹介するホテルは、2016年10月にオープンした「THE PRIME POD 銀座 東京」。東京メトロ銀座線「東銀座駅」から徒歩1分という好立地で、銀座の顔とも称される歌舞伎座の真向かいにあたる。交差点に群馬のアンテナショップ「ぐんまちゃん家」が見えたら、そのビルの最上階がTHE PRIME PODだ。

木目を基調としたシックなデザイン、見上げればシャンデリア、漂うのは80年代を思わせるジャズの調べ。ホテルデザインは、"泊まれる本屋"をコンセプトにした「BOOK AND BED TOKYO」(東京・池袋)のデザインを手がけたSUPPOSE DESIGN OFFICEを起用し、ラグジュアリーで都会的な空間に仕上げている。

エレベーターから見たTHE PRIME PODのフロント&ロビー。窓の向こうにネオンきらめく銀座が広がっている

黒のシャツに黒のベストをあわせた制服のスタッフも、バーラウンジを想起させる存在と言えるだろう。ただ、よく見てみるとジーンズを着用していたり、首元にはスカーフではなく手ぬぐいをしていたりと、意外なカジュアルさに親しみも感じられる。支配人の石川数正氏によると、藍染めのジーンズと手ぬぐいで日本の心を表現していると言う。

利用者属性を見てみると、日本人と外国人の割合は6:4という。外国人の中でも特にアメリカ人の利用が多く、最近では韓国やインドネシアから訪れる人も増えているという。それゆえに、英語に長けたスタッフも控えており、館内のさまざまなところで英語表記を目にする。

また、ホテル利用としては半分以上が観光目的ではあるものの、銀座という立地ゆえにビジネス利用者も30%以上を占めている。そのため、限られた時間の中でも訪れた人が寛(くつろ)げるよう、元CAスタッフを中心とさせ、接客マナーを身につけさせているという。

首元にスカーフ……と思いきや、よく見ると手ぬぐい。一人ひとり異なる手ぬぐいを使用している

駄菓子から始まるコミュニケーションもある

バーのような雰囲気を醸し出しているのは、フロントに並んだお酒のせい、というのもあるだろう。17時~24時はバータイムとなり、180mlの飲みきりサイズな日本酒(500円~600円)は全国の蔵元から常時7~8種類を用意。ラベルもレトロ仕様で、このままお土産として購入していく外国人もいるという。スリムな瓶は備え付けの酒燗器にそのまま入るので、セルフで熱燗がつくれるのも楽しいところ。そのほか、ワインカップ(500円)や瓶ビール(450円~500円)などもそろえている。

レトロなラベルの日本酒(500円~600円)はお土産にもぴったり

熱燗はご自由に

ワインカップ(500円)は白・赤・ロゼの3種類

ビール(450円~500円)は国内外のブランドを用意

そんなお酒に欠かせないのおつまみも、フロントに用意されている。特にオススメなのが「駄菓子ラウンジ」だ。1個30円で売っているが、ぜひここは量り売りで"大人買い"を。50gで100円とのことだが、どのくらい購入すれば50gになるのかなかなか想像つかないだろう。筆者が"子ども心"を躍らせて量ったところ、うまい棒6本がちょうど50gだった。

このサービスは、宿泊者とスタッフのコミュニケーションのきっかけも狙っていると言う。「お客さまにはメリハリのある滞在、そして、銀座の街を楽しんでいただきたいと考えていまして、スタッフはお客さまとコミュニケーションを図りながら、"街のコンシェルジュ"としても機能できればと思っています」と石川氏は話す。

量りそのものもあえてレトロなデザイン。量りに載せてぴったり50gを狙うのも楽しい

フロントの前にあるラウンジスペースからは、歌舞伎座のほかに銀座・和光も眺望できる。ネオンきらめく銀座の夜は、一番の"お酒の友"だろう。ラウンジの奥には別途、喫煙ルームも備えている。ちなみに、2,3月には「ほろ酔いフェア」として、アルコール購入者に30gの駄菓子量り売りをプレゼントしている。終了時期は未定となっているので、ぜひお早めに。

駄菓子以外にもおつまみいろいろ

ホテル名にあるPODは「繭(まゆ)」という意味。そのPODらしさを実感できるのが客室だ。続いてはそんな客室、そして、宿泊プランに付けて絶対損がない朝食を紹介しよう。