日本では、LGエレクトロニクスがいち早く家庭向けの大画面4K有機ELテレビを発売している。国内メーカーでは東芝REGZAがこれに続くかたちとなるが、おそらくはソニーやパナソニックもCES 2017で展示した有機ELテレビを日本で発売するだろう。各社の有機ELテレビの映像を店頭などで見比べるときに、どこをチェックポイントにすればいいのだろうか。REGZAのTV映像マイスタである住吉氏にうかがった。

TV映像マイスタの住吉肇氏

「有機ELや液晶といったパネルの違いだけでなく、映像処理エンジンの性能を活かした画づくりの違いにも注目してほしいですね。2017年のREGZA最新モデルでは『地デジの映像を美しく再現すること』と『美肌』をテーマに掲げています。いまや、大画面テレビは4K対応が当たり前の時代です。REGZAは高性能な映像処理エンジンの実力を活かし、4K映像をキレイに見せられるだけでなく、普段視聴するテレビ番組もより高画質で楽しめます。また、その中で特に頻繁に表示される"人の肌"を美しく見せられるところにREGZAの優位性があります」(住吉氏)

東芝の画づくりのテーマ、美肌。写真は液晶テレビの「Z810X」

最新のREGZAには、有機ELのX910シリーズ、液晶のZ810Xシリーズともに、テレビに表示される映像の種類に合わせてフレーム数を自動で判別しながら、ノイズやチラつきを抑える「アダプティブフレーム超解像」技術が搭載されている。画面全体の肌色の分布をリアルタイムに解析しながら、特に明るいシーンで起こりがちな白とびや色ズレを低減する「美肌リアライザー」も高性能な映像処理エンジンの底力が成せる技だ。

今回の取材では、東芝の視聴室でX910シリーズとZ810Xシリーズの映像を体験する機会も得た。画素数が4Kに満たない地デジの映像も、4Kパネルの精彩感をフルに活かしながら、シャープかつ透明感があふれるように仕上げている。明るい光が当たる人物の肌は色合いがリアルで、階調感が自然に引き出されている。誇張感のない映像なので、目の疲れやストレスも感じることがない。

そして有機ELの映像は確かに黒色が深く沈み込む。星空の映像を見比べてみると、明るさの低い星までも画面に浮かび上がってくる。かたや液晶は昼間の陽の光を眩しいほど煌びやかに再現する。

左が有機ELテレビの「X910」、右が液晶テレビの「Z810X」

どちらのシリーズも高画質化技術「HDR(ハイダイナミックレンジ)」に対応。映像のコントラスト感をより鮮明に再現する「ローカルコントラスト復元」や、AI(人工知能)による機械学習を活かしたHDR復元の技術により、地デジのSDR映像も明るさや色彩の表現力が高く、わざとらしくないHDRライクな映像として再現される。随所にREGZAの底力が感じられた。