リコージャパンは2月15日、浜松市にある同社静岡支店において、11回目となるエクゼクティ向けのセミナー「Executive Seminar Winter」を開催した。セミナーでは、日本マイクロソフト 平野拓也社長が、同社がこれまで取り組んできた働き方改革を紹介した。

日本マイクロソフトでは、都内複数拠点に点在していたオフィスを品川に統合した2011年から、働き方改革に取り組み始めたという。

「弊社も6-7年前までは会議を重ね、紙の資料が積みあがり、なかなか決断ができない状態だった。それを解決するため、ITを駆使したフリーアドレス制を導入したが、当初はあまり改善しなかった」と、平野氏は最初の取り組みが、あまり成功しなかったという経験を語った。

日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏

原因は、上司が自分の部下がどこにいるのかわからないことに不安に感じ、自分の席の近くで作業することを指導する例が多かったためだという。また、部下も、自分の働いている姿を上司にアピールできないという点もあり、フリーアドレス制を導入しても、働き方は以前と変わらなかったという。

同氏はこの失敗から、「働き方改革は、経営課題であるというトップの強い思いがなければ達成しない」「制度やポリシーが変わらなければ、何も変わらない」「デジタルトランスフォーメーションとしてITをフル活用する必要がある」「オフィスの環境が、敷居や壁があり島状になっているのがいいのか、偶然人と人が出会うようなオフィスがいいのかなど、オフィス環境の検討が必要」「社員のマインドをどう醸成していくのかも重要」という5つを学んだという。

同社はその後これらを踏まえて継続的に働き方改革に取り組み、ワークライフバランスは40%改善、事業生産性(一人あたりの売上げ)は26%改善、働きがいは7%改善、残業は5%削減するなど、大きな成果を挙げた。

働き方改革の成果

さらに同社は、昨年5月からフレックスタイムのコアタイムをなくし、会社に出社することを不要にした。

この改革の背景には、個人やプロジェクトにおいて、もっともインパクトが出せる働き方を考えた場合、コアタイムで規制すると最大のポテンシャルが引き出せないという結論になったためだという。

また、同社では毎年テレワーク週間を設け、社員がテレワークのスタイルに慣れる取り組みも行っている。2014年からはパートナーも参加し、昨年は800社以上のパートナーが一緒に取り組みを行ったという。

同社はテレワークの推進する上で、「Skype for Business」という自社のソリューションを活用し、成果を挙げているが、平野氏は「Skype for Business」について、「一般的には、ミーティングの召集から実際にミーティングが行われるまで、10日から2週間かかっているが、『Skype for Business』を利用すれば、必要なときに、必要なことを話すことができ、この時間を短縮できる」と説明。

マイクロソフトは会議の効率化に「Skype for Business」を活用

同社では、「Skype for Business」を利用することで、以前は10日程度かかって会議招集から実施までの期間を、現在では5日程度に短縮しているという。

「Skype for Business」を利用して会議も効率化

このセミナーでは、「Skype for Business」と「RICOH Interactive Whiteboard」を利用した会議の効率化ソリューションも紹介された。

「RICOH Interactive Whiteboard」

「RICOH Interactive Whiteboard」は、会議向けの電子黒板で、ボード部分はタッチディスプレイになっており、手書き文字が書けるほか、行の挿入や削除、手書き文字をテキストデータに変換すること(OCR入力)もできる。

インタフェースとしてはUSBのほか、HDMIやVGAポートもあり、PCを接続してプロジェクター代わりに利用することもできる。

そして、「RICOH Interactive Whiteboard」の大きな特徴は、「Skype for Business」への対応だ。

リコーは1月23日から提供している、「RICOH Interactive Whiteboard」シリーズの新しいファームウェアにより、「Skype for Business」と「RICOH Interactive Whiteboard」の連携を実現している。

これにより、別途ビデオ会議システムを用意することなく、「RICOH Interactive Whiteboard」だけでビデオ会議を行うことが可能になった。

セミナーでは、2拠点でのビデオ会議に、モバイルから単独で参加する複数拠点でのデザインレビューのデモが行われ、互いに設計図を共有しながら、同時に双方から書き込みを行う様子や、手書き文字の対する行の挿入、OCR機能などが実演された。

2拠点からの同時書き込み

手書き文字の対する行の挿入

OCR機能

デモを行ったリコージャパン ビジネスソリューション本部 ICT事業センター VC事業推進室 室長 赤松俊雄氏は、「スマートフォンやモバイルデバイスの普及、クラウド環境の整備により個人の生産性は上がってきたが、会議などのコミュニケーションのあり方は従来と変わらず、生産性は向上していない」と指摘。「RICOH Interactive Whiteboard」による、会議の効率化を訴えた。

リコーでは今後AI機能と連携し、会話のテキスト化を行う議事録作成機能や翻訳機能を搭載していく予定だという。

今後はAI連携も実現