富士通は22日、島根県出雲市にある同社のノートPC・タブレット製造拠点「島根富士通」にて、島根富士通本社工場でのものづくり技術や、新しい試み、今後の方針などをプレス向けに紹介。このなかで、同社が春モデルとして発表した、重量777gの13.3型モバイルPC「LIFEBOOK UH75/B1」について、開発時の工夫などが明かされた。

デジタル計量器で761gを指すLIFEBOOK UH75/B1

【関連記事】13.3型で777g、世界最軽量をうたうモバイルPC - 富士通「LIFEBOOK UH」

「LIFEBOOK UH75/B1」は、重量777gで約8.3時間のバッテリ駆動を実現した、同社の最新モバイルPCだ。2017年1月17日に13.3型PCで世界最軽量(発表時)をうたい登場。「妥協のない機能」と「剛性感」を意識して設計されたといい、社内では世界最軽量の13.3型PCの製造を目指すプロジェクトが設定され、これを達成するためのチーム「777」が結成されたという。

発表時の「LIFEBOOK UH75/B1」。女性がPC本体の上に乗っても問題なく動く、という堅牢性を紹介するデモンストレーションも披露された

開発コード名はGram

「LIFEBOOK UH75/B1」の開発コードネームは、1グラムでも軽くするという想いを込めた「Gram」。部品を0.01g単位で調節し、従来モデルから「限界まで軽量化した」。筐体や液晶、バッテリは専用の軽量部品を開発。基板は厚みを従来の1.00mmから0.74mmまで薄くしたほか、部品点数も削減したことで、基板重量を従来から7.2g削減。ディスプレイには軽量LCDを採用し、185gから140gまで約45g軽量化した。内部レイアウトも新開発バッテリの搭載スペースに合わせ最適化し、ケーブルを可能な限り省くものへ調整した。

天板カバーには軽量で剛性の高いマグネシウムリチウム合金素材を採用(右側の写真では風船に持ち上げられている)。従来はアルミニウム素材だった。なお、素材紹介用の展示は実際の製品で施される塗装処理がなされておらず、実際の製品の色合いより光沢感が出ている

なお、2017年2月7日、NECパーソナルコンピュータが約769gの13.3型2in1 PC「LAVIE Hybrid ZERO」を「13.3型PCで世界最軽量」として発表している。

しかし、「LIFEBOOK UH75/B1」では、スペック値は777gであるものの、製造品の個体平均値は761gであると説明。実際に島根富士通で紹介されたデモコーナーでは、デジタル計量器で761gを指した「LIFEBOOK UH75/B1」を展示し、同コーナーの担当者は「世界最軽量はいつでも抜くことができる」と力強くコメントした。

スペック値は777gだが、製造されたLIFEBOOK UH75/B1の平均個体重量は761gとする

「人」重視の使いやすいPCを

富士通クライアントコンピューティング 事業本部 コンシューマビジネス事業部の吉田慎二事業部長はLIFEBOOK UH75/B1の開発時、777gという重量を「数字のゴロも良く、これでいこうと決めた」と語る。発表後は「予想以上に他社からの反応が大きかった」とした(富士通が13.3型の世界最軽量として「LIFEBOOK UH75/B1」を発表したその日、NECパーソナルコンピュータからは「世界最軽量PCを開発している」という告知がアナウンスされている)。

軽量化はこだわりの部分ではあったが、「"世界最軽量"だけを見て戦うことが正しいかどうか」と吉田氏。「LIFEBOOK UH75/B1は法人向けへのカスタマイズや、長時間のバッテリ駆動など、他社にない特徴がある。ユーザー重視の使いやすいPCを作ることが何より大事」と、製品の作り込みに自信をみせた。