説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『以前に比べて位置情報を扱うアプリの消費電力が減ったような気がします?』という質問に答えます。

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確かに、iOS 9の公開以前と比較すると、位置情報を扱うアプリの消費電力は低下傾向にあります。位置情報を取得するアプリの数が増えていることもあり、気付きにくいかもしれませんが、iOS 9から位置情報アプリに使用される開発フレームワーク「Core Location」にバッテリー消費を抑える機能が追加されたため、そのようにデザインされたアプリは消費電力が減っています。

iOS 9以降のCore Locationには、iPhoneがしばらく同じ位置に留まっていると判断した場合などには、位置情報の更新を必要に応じて停止する機能があります。その結果、GPSやWi-Fiなど関連するハードウェアへの電力供給が止まるため、消費電力節減に貢献できるのです。

位置情報の更新を停止するときの判断基準は、カーナビなど自動車の追跡を目的としている場合、電車や飛行機など自動車以外の交通手段の追跡を目的としている場合、ウォーキング/ランニングといったフィットネス目的の場合、それ以外の移動手段の場合という計4種類が存在します。アプリ開発者がアプリの用途に応じて適切な判断基準を設定していれば、機能や利便性を犠牲にすることなく省エネできるというわけです。

一方、バッテリー消費量を犠牲にしてでも正確な位置情報を必要とするアプリのために、最高精度の位置情報を取得し続ける機能もCore Locationには用意されています。推測ですが、Pokemon Goなど数メートル移動しただけで反応するタイプのアプリは、高精度な位置情報を取得しているのでしょう。消費電力の大きさが、そのように設計されていることの証拠だといえます。

Pokemon Goのように精度の高いデータを必要とするアプリをのぞけば、位置情報を扱うアプリの消費電力は以前に比べ低下傾向にあります