【レポート】

ANA、新千歳から隈研吾監修のラウンジ展開「フルサービスだからできる快適さ」

ANAは2月21日、建築家・隈研吾氏監修のもと新千歳空港のANA国内線ラウンジをリニューアルすることを発表。隈氏が航空業界で建築を手がけるのは初の取り組みであり、今回の国内線ラウンジを皮切りに、「本当に寛げる空間」の実現を目指す。

左から建築家・隈研吾氏、ANA代表取締役社長の篠辺修氏。手に持つイラストは、新千歳空港ラウンジで構想しているイメージを表現したもの

2020年がひとつの節目

新千歳では国内線ラウンジのリニューアルに加え、国内線プレミアムメンバー向けの最上級ラウンジ「ANA SUITE LOUNGE」を新設し、3月15日着工・9月初旬のオープンを予定している。2018年度以降は福岡・伊丹・沖縄空港においてもANA国内線ラウンジのリニューアルを実施。また、今後導入する機内プロダクトのデザインも隈氏監修のもとで展開を予定しているという。今回のプロジェクトは2020年東京オリンピック・パラリンピックの2020年をひとつの節目としており、上記4空港に関しては2020年までに完了することを見据えている。

今回のプロジェクトは、飛行機のヘビーユーザーである隈氏と話す中で篠辺氏が構想したのがきっかけ。「引き受けてくれてラッキー」と篠辺氏も話す

新千歳の国内線ラウンジからとなった理由としては、より多くの人に実感してもらえる場としてまずは国際線よりも国内線を、また、すぐに着手できるラウンジが新千歳空港だったからというもので、今後は国内の基幹空港での展開を構想。国内最大空港である羽田に関しては、空港改変そのもののスケジュールがまだ見えない状況であるため、候補ではあるものの具体的な計画に関しては未定となっている。

東京大学教授である隈氏は、東京五輪の新国立競技場の設計にも携わっている世界的に知られた建築家。今回の取り組みは1年半ほど前、ANA代表取締役社長の篠辺修氏が隈氏と会う機会があり、その中で「飛行機に結構興味があるようだ」と感じた篠辺氏から、社内チームに打診したのがきっかけだという。隈氏自身も「飛行機のヘビーユーザーで、空で生活しているようなもの」と語っており、自身が利用した経験の中で「こんなサービスがあったらいいな」と実感したものを表現できればと考えている。

木材と和紙を生かした和空間

新千歳・福岡・伊丹・沖縄空港のラウンジでは、「一期、一会」をコンセプトにしてデザイン。伝統的日本美がもたらす成熟した佇まい、洗練されたデザインが生み出す新しいきらめき、水紋のようなその瞬間の美しさ。そんな"積み重ねた時間"と"きらめきの瞬間"が融合する、自然と建築の特別な出会いとなる空間を目指している。

日本を表現する素材として木材と和紙を用いたラウンジを構想

第一弾となる新千歳では、北海道の壮大な自然をイメージし、「大空の玄関」と「翼につつまれる空間」をテーマに新デザインを展開。素材として木材と和紙を用いる意義は、「ただ伝統的なものというわけではなく、新しい素材として」(隈氏)と捉えてのこと。木材は白木の色合いを生かし、和紙はテクスチャーがしっかりした手漉き和紙を使用することで、和紙の翼に包まれるレセプション、雲間を抜けるような特別なアプローチを展開する。

和紙の翼に包まれるレセプション

雲間を抜けるような特別なアプローチ

隈氏自身、日本というものをどのように世界にアピールすればいいのかと考えている中でANAの取り組みに共感し、日本の魅力を発信する絶好の場として今回のプロジェクトに賛同したと言う。また、実際に世界のラウンジを利用した際、大理石の豪華さは本当に寛げるものなのかという想いもあり、今回、その地域に根ざした「一期、一会」なラウンジで最高に寛げる空間設計を目指している。

LCCと差別化できるサービスを強調

ANAは今まで、新自動チェックイン機やユニバーサルデザインの導入など、利便性向上のための取り組みを先行して展開してきたが、今回の取り組みはフルサービスキャリアだからできる快適さを高めるサービスとなる。その背景にはLCCの伸長があり、篠辺氏も「LCCのおかげでフルサービスがやらないといけないことが明確になった。フルサービスだからできる快適さをもっと強調してもいいのではという考えがあり、今は積極的にチャレンジするタイミングなのではないか」と語る。

今後は、国際線ラウンジや機内プロダクトも構想しているものの、まだ具体的には定まっていないという。機内プロダクトに関しては、ANAが2019年春よりホノルル路線に導入するエアバスA380での展開が期待されるところだが、篠辺氏は「まだ発表できる段階ではない。いろんなものをお見せしたいと思っている」にとどめた。

ラウンジの重要性が高まっている中、フルサービスならではのサービスを充実させる

新千歳のANA SUITE LOUNGEは3階エリアに新設。ワインやプレミアムビール、パンやスープなど既存のANA SUITE LOUNGEのサービスに加え、北海道にまつわるメニューを用意する。また、リニューアルするANA LOUNGEは現在のラウンジから面積を約2倍に拡大し、3階エリアに移転。滑走路に面した東側は全面ガラス張りの大きな窓を設け、遠くには北海道の山々も望める、明るく開放的な空間に生まれ変わる。

ラウンジにはカウンターなどにユニバーサルデザインを採用し、ラウンジに直結する優先チェックインカウンターおよび保安検査場を2階エリアに新設する(プレミアムクラス、ANAダイヤモンド会員・プラチナ会員・スーパーフライヤーズカード会員・スターアライアンスゴールド会員限定)。なお、現在のANA LOUNGEは3月15日より工事を開始するため、一旦、閉鎖となる(工事期間中の運用については2月22日にANAホームページにて案内)。工事期間は3月15日~9月初旬を予定している。

関連キーワード

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事