約1年前、Windows 10 Mobileを搭載したスマートフォン「NuAns NEO」を発表したトリニティだが、その第2弾となる「NuAns NEO Reloaded」はデバイス本体となるコアのインダストリアルデザインをそのままに、細かい部分を再設計しつつAndroid 7.1 Nougatを搭載したスマートフォンだった。

トリニティ 代表取締役 星川哲視氏はOSをWindows 10 MobileからAndroidに変更した理由を、「新しいものを取り込んでいきたい」と述べている。NuAns NEO Reloadedは2017年5月発売予定。49,800円(税込)の希望小売価格で、Amazon.co.jpやヤマダ電機で販売し、トリニティのオンラインショップでは本日18時から予約受け付けを開始する。アンケートに回答することで、カバーであるTWOTONE上下1つずつ、もしくはFLIPを1つ同梱して出荷する。

トリニティ 代表取締 星川哲視氏

USB-Type Cを新搭載、防塵・防滴も対応

まずはNuAns NEO Reloadedのハードウェアスペックから確認しよう。ご覧のとおりハイスペック系スマートフォンデバイスとしては充実した内容になっている。

NuAns NEO Reloadedのスペック

NuAns NEOでは実現できなかったUSB-Type CやQuick Charge 3.0の採用、防塵・防滴(IP54)など興味を惹くポイントが多い。「SIMフリースマートフォンはASUSなど大手ベンダーが市場を占めているが、採用を見送っている機能」(星川氏)と防塵・防滴仕様をアピールしていた。また、対応バンドの多さは海外展開を考慮した設計を行い、スペイン・バルセロナで開催される「MWC(Mobile World Congress) 2017」でもNuAns NEO Reloadedの発表及び展示を行うという。

初代NuAns NEOと同様、本体の「着せ替え」機能は健在。トップとボトム、それぞれに素材、カラーを選べるシンプルな「TWOTONE」と、機能的な手帳タイプの「FLIP」。本体となる「CORE」を約700通りのデザインから選択できる。

おサイフケータイは「やりたかった機能」

NuAns NEO Reloadedが備える機能の中でも目を見張るのが「おサイフケータイ」への対応だ。

デバイスに組み込まれたモバイルFeliCaチップを利用し、電子マネーなどに利用する機能だが、日本国内では広く普及している。だが、同サービスはチップと紐付いているため、スマートフォン移行時は煩雑な手間がかかり、SIMフリースマートフォンで採用するベンダーは少なかった。

トリニティはフェリカネットワークとライセンス契約を結び、おサイフケータイのサポートに至っている。同機能についてトリニティは、「(OSに)Androidを採用する際にどうしてもやりたかった機能。(NuAns NEOの)Continuum for Phoneと同じ」(星川氏)と強くアピールした。ただし、JR東日本のモバイルSuicaなど個別のサービスについては調整中であり、最終的にはおサイフケータイとしてすべてのサービスが利用可能になることを目指す。

NuAns NEO Reloaded(左)とNuAns NEO(右)。ディスプレイサイズは5.2インチにアップしているが筐体サイズは一緒

デバイス下部には指紋センサーを搭載

インダストリアルデザインはNuAns NEOと共通のため、デバイス下部にはヘッドフォンジャックやストラップ用スペースが用意されている

Android 7.1のバージョンロゴも顕在

コアのデザインはNuAns NEOと共通のため、NuAns NEOのTWOTONEやFLIPといったカバーは利用可能

TWOTONEは新素材としてコルクや児島デニム、パンチングウルトラスエード、ストーン(石)を新たに追加

95%がアンケートでAndroidを希望

AndroidをOSとして採用した理由の1つに「NuAns NEOを発売後にアンケートを行ったところ、購入を希望した95%がAndroidを希望」(星川氏)していたからだという。

NuAns NEOの発表会で、星川氏はAndroidには多く欠点があると述べていた。例えばデバイスベンダーがカスタマイズしたシステムはOSの共通性を破壊し、機種間の相違で混乱が生じてしまう。また、OSのアップデートはGoogleではなくデバイスベンダーが行うため、セキュリティ面の不安が残るといった内容だ。

NuAns NEO Reloadedはこの点を鑑み、Androidに対するカスタマイズは一切行わず、Googleが提供するメジャーアップデートやセキュリティパッチを数年間(期限は現時点で未定)提供する。

この点については今回も開発に携わったフリーライターの本田雅一氏が次のように説明した。「具体的なプロセスは明かせないが、一定期間の予算を確保してNuAns NEO ReloadedがGoogleの各種アップデートに対応する体制を整えている」(本田氏)。

GoogleによるOSのアップデートは利用デバイスによってリリースタイミングが異なり、最新OSに追従するにはNexusシリーズやPixelシリーズを選択しなければならない。筆者はこの点を敬遠し、iOSやWindows 10 Mobile搭載スマートフォンを常用しているが、顧客の安全性を優先するトリニティの姿勢を高く評価したい。

フリーライターの本田雅一氏(右端)

Windows 10 Mobile搭載「NuAns NEO」は1万円値下げ

現在Androidデバイスは安価な製品が多いものの、NuAns NEO Reloadedは約5万と高価格である。だが、トリニティは「(Android搭載デバイスは)Windows 10 Mobileの市場シェアと段違い。また、高価格帯では(デバイスを発売する)プレーヤーが少ない」(星川氏)と勝算があるという。

そのWindows 10 Mobileを搭載したNuAns NEOの販売も継続し、価格を1万円ダウンの29,800円に値下げすることも今回明らかにした。また、ICカード読み取りオリジナルアプリ「TriCa」もNuAns NEOユーザーには無償提供し、サポート体制は維持される。

あくまでも筆者の主観だが、Google Pixelが日本未発売であることを踏まえると、非カスタマイズ&Googleのアップデートに追従するNuAns NEO Reloadedの約5万円は決して高くないように感じた。NuAns NEO ReloadedはAndroid搭載SIMフリーデバイスを欲している読者諸氏を悩ませる選択肢となるだろう。

NuAns NEO Reloadedの販売チャンネル。Y!mobileでもSIMフリーデバイスとして取り扱われる

NuAns NEO Reloadedの主な仕様

  • OS:Android 7.1
  • CPU:Snapdragon 625(8×A53/2.0GHz オクタコア)
  • メモリ:3GB
  • ストレージ:32GBフラッシュメモリ
  • 外部ストレージ:最大1TB(UHS-I 3.0)microSD
  • SIMカード:micro-SIMスロット(nano-SIMアダプター同梱)
  • 対応バンド:2G(Quad band)
    3G(W-CDMA) 1/3/5/6/8/9/19 42Mbps/5.76Mbps
    4G LTE 1/3/5/6/8/9/12/17/18/19/26/28 Cat.4 最大150Mbps VoLTE対応
  • ディスプレイ:シャープ製5.2インチ(1,920×1,080ピクセル、428ppi)
  • リアカメラ:1,300万画素/F2.0/像面位相差オートフォーカス/28mm広角レンズ
  • フロントカメラ:800万画素/F2.4/オートフォーカス/24mm広角レンズ
  • 防塵/防滴:IP54(防塵 IP5X、防滴 IPX4)
  • おサイフケータイ:対応
  • NFCカードリーダー:対応
  • 指紋認証センサー:対応
  • バッテリ容量:3,450mAh
  • 連続通話時間:TBD(想定仕様 1,380分以上)
  • 連続待ち受け時間:TBD(想定仕様 335時間以上)
  • Bluetooth:バージョン4.1 BLE対応
  • Wi-Fi:IEEE802.11 a/b/g/n/ac 2.4GHz/5GHz
  • テザリング:対応(USB、Wi-Fi、Bluetooth)
  • スピーカー&マイク:スピーカー×1、マイク×2(ノイズキャンセルマイク含む)
  • 搭載センサー:3軸加速度センサー/3軸ジャイロセンサー/3軸地磁気センサー/近接センサー/環境光センサー/ホールセンサー
  • ポート:USB Type-C(3.0 /OTG、Quick Charge 3.0)、4極ヘッドセットジャック(CTIA)
  • 本体サイズ:W74×D11×H141mm
  • 重量:180g

阿久津良和(Cactus)