日本マイクロソフトは2月16日、働き方改革を支援する「Office 365」の「MyAnalytics」に関する記者説明会を開催した。同社はこの機能を利用し、社内で働き方改革を実践しているという。

MyAnalyticsは、Office 365 Enterprise E5プランに標準で搭載される機能で、メールなどのメッセージングと会議などのコミュニケーションデータを分析し、自分の作業に無駄がないかという気づきを与える機能。Office 365 Enterprise E1、またはE3でもオプションとして利用することができ、その場合の参考価格は1ユーザーあたり月額440円。

MyAnalyticsは、Office 365で「Delve」に移動して、 [MyAnalytics] を選択するとダッシュボードが表示され、利用できる。

MyAnalyticsのダッシュボード

表示されるデータは、会議、メール、フォーカス時間(集中して考えた時間)、残業時間など。

会議の項目では、会議に使った時間、自分がスケジュールした会議と他のユーザーがスケジュールした会議の内訳、誰とどれくらいの会議をしたかなどの集計結果を表示。データは、Office 365の予定表から収集される。そして、定時を越えた分は残業時間での会議、1時間を超える会議は長時間の会議、会議中に一定以上のメールの送受信を行うと、内職をした会議などに分類され表示される。

会議の分析

メールに関しては、送受信にそれぞれ要した時間や送ったメールのうちどれくらいが開封されたのか、よく連絡を取る人などが表示され、フォーカス時間は会議がない連続する2時間以上の時間数の合計が表示される。

よく連絡を取り合う人

日本マイクロソフト コーポレートコミュニケーション本部 本部長 岡部一志氏

したがって、集計時間は厳密な数字ではなく、作業時間の目安として表示するものだ。たとえば、送信メールは1通あたり5分、受信メールは1通あたり2.5分というように機械的に算出される。

日本マイクロソフト コーポレートコミュニケーション本部 本部長 岡部一志氏が「これは管理ツールとして提供するものではない」と語るように、人事評価や給与計算の基データとして使うことは想定していない。あくまで、自分の作業時間の見直し、無駄がないかを判断する材料として利用するものだ。

MyAnalyticsではAIを利用し、改善提案を行うのも特徴だ。たとえば、メールに費やす時間が多ければ、直接会う会議やSkypeによる会議、SNSの利用を提案し、定期的な会議中にメールの送受信を行う人が多ければ、会議のあり方の見直しを提案する。

日本マイクロソフト Office マーケティング本部 輪島文氏

Office マーケティング本部 輪島文氏は、「今、AIはバスワードになっており、華やかなイメージがあるが、今回は地に足に着けたリアルなソリューションとして紹介した。最近は残業時間の上限が話題になっているが、時間を減らして仕事が達成できないといったことになっては本末転倒だ。量の削減には、質の向上が不可欠だ。それは、無駄な時間をなくすことだ。MyAnalyticsでは、AIが働き方の質の向上をサポートする」と語った。

同社では今後MyAnalyticsの機能を拡張し、これまでは個人単位であった分析を今年の春にはチーム単位での分析機能を搭載し、夏にはカスマイズされた組織横断の分析機能を搭載する予定だ。

MyAnalyticsの機能拡張

同社は2011年に本社を品川に移転し集約したのを機に、フレキシブルなワークスタイルへの移行に取り組んできた。現在は、MyAnalyticsを使って、働き改革を推進しているという。

岡部氏は「2017年は働き方改革の第2章に入っていく。それは、これまでのいつでも、どこでも活躍できる点に加えて、AIによる気づきにより働き方の質の向上に取り組んでいくことだ」と述べた。

マイクロソフトの働き方改革の進化