米GLOBALFOUNDRIES(GFは2月9日(米国時間)、同社のニューヨーク州、ドイツ、シンガポールの既存ファブを拡張し製造能力拡大するとともに、中国四川省の省都である成都に新たに300mm半導体工場を建設する計画を発表した。

米国:ニューヨーク州のFab 8を拡張し14nm FinFET増産へ

同社は、ニューヨーク州にある最先端ファブであるFab 8を拡張し、14nm Fin FETの生産能力を2018年初めまでに2割増強する予定だ。これは、同社はこれまでの過去8年の間に、米国にて総額130億ドルを投じてきたが、その流れの一環に位置付けられている。今後ともニューヨーク州は、GFにとって7nmプロセスやEUVリソグラフィなどの最先端技術開発の中心であり、同地での7nmデバイス製造は2018年第2四半期から始める予定だという。

ドイツ:ドレスデンでFD-SOIを4割増産へ

ドイツのドレスデンにあるFab 1(もともとはAMDの半導体工場の主管ライン)では、22FDXと呼ばれる22nm FD-SOI(完全空乏型SOI)の生産能力を2020年までに4割増強する計画だ。IoTやスマートフォン用プロセッサ、車載エレクトロニクス、バッテリ駆動機器のワイヤレス接続など、低消費電力を要求されるアプリケーションでの需要が増加しているためである。同社にとって、ドレスデンはFDX(FD-SOI)技術開発の中心として位置づけられており、ドレスデンの技術者たちは、すでに次世代FD-SOIである12FDX(12nm FD-SOI)の開発を進めているとのことで、2018年半ばには顧客から製造委託されている製品のテ―プアウトが始まる予定である。

シンガポール:40nm製品の生産能力を35%増強へ

シンガポールの300mmファブ(もともとはChartered Semiconductorの施設)では、40nm製品の生産能力を35%増強する計画だ。また、同時に200mmファブでの180nm製品の生産能力も増強するほか、新たにRF-SOI製品の製造も始める予定である。

中国:成都に300mmファブ建設し、中国での製造に本腰

中国では、四川省成都市人民政府とパートナーシップを締結し、中国国内での半導体市場の成長に対処するとともに、22FDXの世界的な需要加速に対応することを目的に300mm工場を新たに成都市内に建設することを明らかにしている。同工場は2018年に生産を開始する予定であり、生産が軌道に乗り次第22FDXの生産も始め、2019年には量産までもっていきたいとしている。

GFのCEOであるSanjay Jha氏は「我々は、世界規模の顧客ニーズに応じるため、生産能力を高め、技術開発を促進する投資を続けている。今回発表した投資計画により既存ファブの生産能力を増強するとともに、中国でのGFの存在感を向上させたい」と述べている。今回の公式発表は、世界各地での生産能力を拡大するという題目だが、中国以外は生産能力を増やすという程度の発表にすぎず、中国での新たな300mm半導体工場の建設をお披露目することが目的であると考えらえる。

現在の米国の政権は、製造業の米国回帰を声高に叫んでいるため、今回の中国進出を大々的に発表することを避け、他国での生産能力増強ニュースにまぎれさせる形で、さりげなく発表したものと思われる。もはや巨大化する中国の半導体市場を無視して、半導体ファウンドリ業は成り立たず、台湾TSMCやUMCもすでに中国へ進出済みという状況の中、GFだけが米国政府のご機嫌をうかがって進出しない、というわけにはいかない。

とはいえ、実は同社 2016年6月に、中国 重慶市の人民政府と協業して、重慶市内の既存ラインを改造した300mmファブで半導体受託生産を開始すると発表していた。しかし、今回の発表ではこの件に一切触れてはいない。実は、2016年末に開催されたSEMICON Japanでの中国市場に関する講演会で、GFと重慶市との半導体工場建設は凍結されていることが話題に上がっていた。

重慶市との計画がキャンセルとなってしまった結果、、GFは新たに成都市と急遽契約したものと思われる。安徽省合肥市人民政府が元エルピーダメモリ社長の坂本幸雄氏率いるサイノキングテクノロジーと協業して、合肥にDRAM量産工場を建設する計画も霧散してしまっている。最近、中国は中央政府による地方人民政府の汚職摘発や腐敗一掃活動が進められており、多数の地方政府高官やその関係者が逮捕されている。こうした動きとの関連も一部で取りざたされているが、中国での半導体工場計画の相次ぐ霧散や大幅再編の真相は闇の中である。