経産省主導の「プレミアムフライデー」(月末金曜の15時退社)の初回実施日・2月24日を控え、意思表明をする企業も増えてきた。そんな中、「すでにプレミアムフライデーを実施している」とのリリースを出したのが、デジタルマーケティングのコンサルティングを行う会社・アンダーワークスだ。

また、祝日が土曜日と重なった場合、その前日の金曜に休暇を振り替える「わくわく金曜日」制度を発表。法律上「消滅」していた休暇を社内制度で拾い上げるインパクトで注目された。

前倒しで行っている「プレミアムフライデー」、そして「わくわく金曜日」に対する社内外からの反応はどのようなものだったのか。今回は、同社代表取締役の田島学氏、そして社員の中から鈴木久美子氏、高橋諭氏に同席いただき、「働き方改革」の最前線の声を聞いた。

左から、アンダーワークス 鈴木久美子氏、高橋諭氏、田島学 代表取締役

プレミアムフライデー、プレ実施の手応え

――プレミアムフライデー、要約すると「月末金曜の15時退社」を御社ではすでに実施されたとのことですが、いつから開始されているのでしょうか?

田島氏: 「プレミアムフライデー」の発表があってからすぐ、2016年11月からですね。もともと弊社では、プレミアムフライデーに限らず「働く時間」について改善していく考え方を社員とも共有しておりまして、それこそ最終的には週休3日制にしていければと思っています。

そういう意味では、休暇を増やす言い訳を探していたところに、ちょうどよくプレミアムフライデーが登場したので取り組んだ、という面もあります。

そもそも、週休2日はここ20~30年くらいで定着したワークスタイルです。テクノロジーが進化し、その頃とは働き方が大きく変わっているのに、同じ業務時間を遵守する必要はないと考えています。弊社の事業自体もテクノロジーの進化なしにはありえなかったものですので、その恩恵を最大限に活かしていきたいです。

――事前実施したプレミアムフライデー、社員のみなさんの退社率はどれくらいでしたか?

田島氏: 基本的には、社員全員が早い時間に退社しました。15時ぴったりに全員、というのではなく、15時20分くらいになった社員もいましたが、その程度の誤差です。

――現状、かなりスムーズに実施されているんですね。

「プレミアムフライデー」ロゴマーク

田島氏: とはいえ弊社の業務はクライアントワークなので、お客様に「月末金曜、15時からミーティングをしてほしい」と言われたら断りにくい状況があるのも事実です。それゆえ導入ハードルは比較的高い業態だと感じています。

ですが、日頃より社員が休みを取る前提で逆算して仕事を進めることが習慣となっているので、特別この制度のために発憤したということではなく、「(月末の)金曜は休む」という前提に立ってお客様との予定調整を行っていった、というのが正しいかと思います。

プレミアムフライデーの事前実施はこれまで計3回行っていますが、印象に残っているのは、最初の実施時に時短勤務の社員とも食事を一緒にできたことです。育児中の方が社の飲み会などに参加するのは難しいので、こうした機会を持てたのもメリットのひとつかと思います。

社員からみたプレ・プレミアムフライデー

――社内の懇親以外にどういった時間の活用がされていたか、高橋さんと鈴木さん個人のご感想としてお教えいただけますか?

高橋氏: 僕の場合、家庭を持っているので普段は個人の時間を取りづらく、プレミアムフライデーで得られた時間でリフレッシュができて、よかったと思います。

鈴木氏: もともと弊社は終電・土日出社当たり前という風土では全くないので、私にとっては大きなイベントとは感じませんでした。

私は最近転職してきたのですが、日本の多くの企業では個々人の進捗と退社時間が結びつきにくく、非効率な居残り残業をする風潮があるように感じています。連帯して居残る風土があるなら、逆に決まりを作ることで、うまく回るケースも出てくるのではないかと思いました。

田島氏: そうですね、仮に残業して深夜、土日も働いたとして、果たしてどの程度の成果が上がるのか、その判定が甘い部分が日本社会にはあるかと思います。「頑張り」を評価するといいますか。現在、「終わり」が明確でない仕事も多いなかで、決められた時間内にどれくらい働けているのか、一度可視化することが大切なのだと思っています。

コンサルティング事業というのは、個人的には24時間稼働する必要のある業種です。土日に本を読むのも大事な仕事のうちですし、自分のライフスタイルやそこから得られる情報が重宝されることも多く、オン・オフがなくなりがちな仕事だと思います。だからこそ、机に向かう時間はきちんと制限すべきです。