多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、『満員電車ではBluetoothイヤホンの音が途切れます!?』という質問に答えます。

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Bluetoothは2.4GHz帯(2400~2483MHz)に1MHz刻みで79のチャネルを設定し、毎秒1600回という速度でチャネルを切り替えながら通信を行います(周波数ホッピング)。この周波数帯はWi-Fi(IEEE 802.11b/g)でも使用されていますが、他の機器が使用中の周波数を自動的に避け、空いている周波数を使うことで安定した通信を確保しようとするAFH(Adaptive Frequency Hopping)という機能により、干渉には比較的強いとされています。

市販のBluetoothオーディオ製品は、半径約10メートルの範囲内でワイヤレス通信できるよう設計されています。指向性は強くないため、機器間の間に物体があったとしてもある程度は安定した通信が可能ですが、状況によってはその範囲内であっても通信が途絶えることはあります。

たとえば、スマートフォンまたはイヤホンの通信部分が人体で覆われた、金属製のかばんなど障害物がスマートフォンとイヤホンの間に現れたときには、通信状況が悪化し音が途切れることがあります。満員電車のような場所では起こりがちな現象といえるでしょう。

通信トラフィックの問題もあります。前述したとおり、周波数ホッピングとAFHの機能により電波干渉を受けにくいBluetoothですが、多数のスマートフォンユーザが密集する満員電車のような空間では、周波数ホッピングとデータの再送に多くの時間をかけてしまうだけでなく、Wi-Fiテザリングを有効にしたスマートフォンが2.4GHz帯を使ってしまう可能性もあります。

BluetoothのみならずWi-Fiの電波が飛び交う満員電車では、2.4GHz帯という共通の帯域を使う以上、音飛び問題の抜本的な解決は難しいのが現実です。気になる場合には、イヤホンジャックを利用した従来どおりの有線接続を使いましょう。

満員電車のような密集空間では、Bluetoothイヤホンが音飛びする可能性があります(写真はデノンのワイヤレススポーツイヤホン「AH-C160W」)