電子帳簿化を目指していなくとも電子化はしよう!

電子帳簿保存法への対応も行いつつ、必ずしも電子帳簿化することを目的とせずに領収書の電子化を勧めているのが弥生だ。弥生の提供する業務ソフト「弥生シリーズ」は中小企業をはじめ、自営業者や個人事業主など小規模ビジネスでの採用例が多いが、そういった事業者でも領収書の電子化には意義があるという。

弥生 マーケティング本部マーケティング部 ビジネス戦略チーム アシスタントマネジャー 中小企業診断士の内山正彦氏

「電子化することで紙をめくらなくとも画面で見られるようになり、大ざっぱな処理になりがちな個人事業主などでもきっちりと処理できるようになるのではないかと考えています」と語るのは、弥生 マーケティング本部マーケティング部 ビジネス戦略チーム アシスタントマネジャー 中小企業診断士の内山正彦氏だ。

弥生では現在、自社製品ユーザーに向けて領収書や契約書を電子化したペーパーレス経理を推奨している。簡単なやり方やメリットを解説する「弥生ではじめよう! ペーパーレス経理」というコンテンツを制作するとともに、ソフトウェア版の有料サポート会員およびクラウド版のユーザー向けにはスキャン画像を解析して仕訳データに変換する機能も提供。専用のスマートフォンアプリも2016年末から提供を開始している。

弥生はペーパーレス経理を推奨

スキャン画像を解析して仕訳データに変換する機能

「スモールビジネスだと年間310枚程度の処理になるようで、これだと処理時間は24時間程度です。保管コストなどのみを考えるとそれほどかかっていないですし、電子化しても業務効率化のインパクトも大きくはありません。しかし、検索性は良くなります」と内山氏は語る。

個人事業主などの場合は、溜め込んだ領収書を一気に処理するようなやり方を採用している人も多いが、スマートフォンを利用した電子化を行うことで逐次経費入力が行える、過去の領収書を検索しやすくなるといったメリットがありそうだ。

「現実には電子帳簿化は個人事業主をはじめ、スモールビジネスの方にとってハードルが高いものだと思います。ただ、電子化することで領収書を集めて分類して整理するといったごちゃごちゃした作業や、まとめて保存しておくといった部分が軽減されます。『このやりたくない、苦手な作業を減らすために電子帳簿化の申請はしなくても電子化を始めましょう』というのが弥生のスタンスです。実際に紙を捨てるというのは、プラスアルファの部分ですね」と内山氏は語った。