ルフトハンザ グループは2月7日、都内でメディア向けに今後のビジネス戦略を発表。2017年を"デジタル化の年"と定めたデジタライゼーションの取り組みとともに、エティハド・アビエーション・グループ(EAG)との提携の内容など、今後のグローバル・日本での展開について語った。

ルフトハンザ初のA350-900は、2日10日よりミュンヘン=デリー線に導入

成田=フランクフルト線運休継続は評価中

ルフトハンザ ドイツ航空の日本・韓国支社長兼、スイス インターナショナル エアラインズの日本・韓国地区支社長のドナルド・ブンケンブルク氏

説明会では、ルフトハンザ ドイツ航空の日本・韓国支社長兼、スイス インターナショナル エアラインズの日本・韓国地区支社長のドナルド・ブンケンブルク氏が発表。現在、日本で展開している路線に関しては「調整を終えて、今のこの状態で安定していると考えている」と述べた。また、ANAとの提携が2017年で5周年を迎えるにあたり、就航記念の取り組みも構想していると言う。

同社は1月9日より成田=フランクフルト線を運休しており、夏ダイヤ期間(3月26日~10月28日)も継続して運休することを計画している。夏ダイヤ以降に関しては、「冬以降は評価中。今は日本の規制に関して例外を受けている状況(羽田に就航するために成田にも就航が必須、という条件からの例外)であるため、余剰問題を踏まえて検討し、冬以降も運休をする場合は改めて例外申請が必要になる」と語った。

また、2日10日よりミュンヘン=デリー線において定期便運航を開始するエアバスA350-900に関して、最初の10機はミュンヘン空港を拠点に配備し、ミュンヘン=デリー/ボストン線に導入する。「新しい機材ということで、まずは近い路線から導入していく。その後についてはいろいろな路線を視野に入れているが、その中には羽田も含まれている」とブンケンブルク氏は言う。同社のA350-900は全293席(ビジネスクラス48席、プレミアム エコノミークラス21席、エコノミークラス224席)で構成されている。

なお、ルフトハンザドイツ航空は現在、パイロットの所属する労働組合「Vereinigung Cockpit(VC)」と、賃金協定に関し仲裁人による手続きをとることで合意し、仲裁を経て2月末までに最終合意を目指している。直近では2016年11月23日よりストライキを実施し、欠航便は計4,461便、累計で52万5,000人以上の乗客に影響が及んだ。今回の最終合意は、持続的な解決策を目指すものとしている。

デジタル化で旅行体験を豊かに

グループでは現在、16のデジタルイノベーションを構想しており、それぞれは「予約」「旅行体験」「機内(オンボード)」「サポート」という役割を担う。

主なサービスとしてまず、長距離路線のみならず短・中距離路線においてもストリーミングを含むWi-Fiブロードバンド接続を展開することで、欧州・中東路線においてもシームレスにインターネットを使える環境を整える。また、ドイツのスーツケースメーカーであるリモワと共同開発した「リモワ エレクトリック タグ」により、スマートフォンからアプリを経由して、ペーパーレスでスムーズに搭乗できるようになっている。

今後の大きなサービスとしては、ビッグデータの分析により旅行体験全体を通じて一人ひとりのニーズに沿ったサービスをオファーするレコメンドサービス「SMILE」を構想。アプリを通じてアクセスしたユーザーに対し、例えば、エコノミークラスを予約している人にプレミアムエコノミーなどが利用可能な場合はアップグレードを紹介するほか、早く空港に到着した人にラウンジの混み具合を確認した上でラウンジサービスを紹介、目的地でオススメのレストランなどのサービスを紹介、などを想定している。オンタイムでサービスを紹介することで、より豊かな旅行体験をサポートしていくと言う。

A350-900においても新サービスを展開

また、同社の最新機材であるエアバスA350-900においても、フライト前に機内プログラムを選べる最新の機内エンターテイメントシステムを展開。自分のタブレットやスマートフォンに「ルフトハンザ コンパニオンアプリ」をダウンロードすれば利用でき、プログラムの選択はフライトの最大6週間前から可能となる。

ルフトハンザのエンターテイメントプログラムは現在、映画100作品、TV番組200タイトルに加えてCD、プレイリスト、オーディオブックで構成されるオーディオプログラム、ゲーム、子ども向けのセクション、更にルフトハンザに関する情報などを提供。この他、座席前のスクリーンまたは無料のFlyNet(R)ポータル経由で放送中のTVニュースやスポーツ番組も視聴できる。

エディハドとソフトとハード共に提携

また、ルフトハンザ ドイツ航空はアラブ首長国連邦(UAE)を拠点とするエティハド・アビエーション・グループ(EAG)と新たな業務上のパートナーシップの詳細を発表。両社は1億ドル規模のグローバル・ケータリング契約とともに、航空機の整備や修理、オーバーホールに関する協力についての覚書を締結した。

この提携に関してブンケンブルク氏は、「ルフトハンザ グループはすでに、世界においてケータリングサービスとメンテナンスサービスを展開している。今回の提携は、ひとつの航空会社ではなくグループだからこそできる、ビジネスパートナーとしての展開」とコメントしており、互いにニーズがあって成り立った提携という。

ケータリング契約の期限は4年となる

ルフトハンザ グループのLSGスカイシェフは期間4年のケータリング契約に基づき、欧州およびアジア、米州の16都市においてエティハド航空にケータリング・サービスを提供。これにより、LSGはエティハド航空のハブ空港であるアブダビ以外では、同社に対する最大のケータリング・サービスプロバイダーとなる。

また、EAGとルフトハンザ テクニック(LHT)は、航空機の整備や修理、オーバーホールの各サービス分野におけるエティハド航空、および同社と資本関係のある航空各社との協力に向けて覚書を締結。覚書には、エティハド航空エンジニアリングとの相乗効果を追求することも盛り込まれている。

2月1日よりコードシェア開始

両グループのコードシェアに関しては、2月1日よりアブダビとドイツを結ぶ便のチケット販売を開始した。ルフトハンザは、エティハド航空のハブ空港であるアブダビからフランクフルト、ミュンヘンへそれぞれ毎日2便運航するフライトに「LH」から始まる自社便名を付与。エティハド航空も、必要な政府の認可を受け次第、ルフトハンザのハブ空港であるフランクフルトからリオデジャネイロ(ブラジル)、ボゴタ(コロンビア)へ運航する大陸間の直行便に「EY」から始まる自社便名を付与する。

コードシェア協定は両社のグローバルネットワークを拡充し、ルフトハンザはアブダビ経由でインド亜大陸全域にわたる重要なフィーダー市場へのアクセスを強化、エティハドはドイツ経由で南米へのアクセスを増やすことが可能となる。コードシェア便に関する接続性と顧客の利便性を高めるため、エティハドはルフトハンザのハブ空港であるフランクフルトでターミナル2からターミナル1へ、同じくミュンヘンではターミナル1からターミナル2へ、運航業務をそれぞれ移転を予定している。

2月10日より、ユーロウィングスで1機目のリース機材の運用が始まる

なお、ルフトハンザ グループは2016年12月、EAGが株式29%を保有するエア・ベルリンとの間で航空機計38機のウエットリースに関する契約を締結。ルフトハンザのLCCであるユーロウィングスがこのうち33機、オーストリア航空が残る5機をそれぞれ運用する。ユーロウィングスとエア・ベルリンの契約は2016年12月16日に結ばれ、ユーロウィングスで1機目のリース機材の運用が始まる2017年2月10日に6年の契約期間を予定している。