住宅購入の際には諸費用が必要とはよく知られています。200万円とか物件価格の5%程度のように表現されることが多いのですが、ローンの選び方によっても額は違いますし、自分で調整できるものもあり、支払う時期もまちまちです。関連費用の全容を把握して、支払い計画を立ててみましょう。

関連費用一覧

住まいの取得に関する関連費用の項目を一覧表にしてみました。本当に多くの項目があり、びっくりすると思います。※印はマンションや建売住宅購入等の場合に該当する項目です。その他は戸建て住宅を新築する場合の関連費用です。該当すると思われる箇所にマークをして、準備ください。ほかにも各家庭の事情による項目があるかもしれません。

住まいの取得に関する関連費用

ローンの諸費用

融資手数料……定額3万円程度か融資金額の1.8%程度の定率方式があります。かなり額が違うと思われるかもしれませんが、一般的に定率方式の金利は安く抑えられていて、定額方式より総支払額が少なくなります。

団体信用生命保険料……金利に組み込まれている場合と、別立てで支払うケースがあります。民間ローンは 強制ですが、証券化されたフラット35などは任意です。別立ての場合は、毎年支払うもので、30年返済で1,000万円当たり初年度の支払いは7万円程度です。

保証料……保証料とは、保証人の代わりとなるものです。数千万円の住宅ローンの保証人になる方は身内でもなかなかいません。ほとんどは保証料の制度を利用します。金利に0.2%程度上乗せする場合や一括支払いのケースがあります。1,000万円当たり30年返済で26~27万円となり、かなり高額です。諸費用として最も多い金額となると思います。さらに保証料の制度を利用したとしても、万一の時に返済が免除されるわけではありません。保証会社が債権者に代わるだけです。繰り上げ返済すると差額の保証料は戻ってきます。フラット35のような証券化ローンは保証人も保証料も必要ありません。返済がされなくなるリスクは証券化されたその債券を購入した人が負うからです。

繰り上げ返済手数料……当初の諸費用ではありませんが、借入先を選ぶときにはチェックしておきたい項目です。フラット35は繰り上げ返済費用の手数料は必要ありませんが、一般的な住宅ローンは手数料が発生します。一回の繰り上げ返済金額の指定がされているケースもあります。あまり少額の繰り上げ返済だと手数料を考えると、意味のない場合も考えられます。ネットバンク等は手数料なしで、1万円から繰り上げ返済できるケースもありますので、収入が一定でなく、多い時には少しでも多く繰り上げ返済したいケースには向いています。

火災保険……住宅ローンを借り入れると、火災保険に必ず加入しなければなりません。銀行は担保となる住宅が消失して、債務者が返済に窮する事態は避けなくてはなりません。消失しても債務は残りますので、火災保険は、「新価特約」として、保険金額を住宅が再取得できる価格に設定しましょう。何年契約にするかで、保険金額が変わります。地震保険や家財に関する火災保険・地震保険は任意ですが、いつ来てもおかしくない震災を考えれば、地震保険にはぜひ加入したいものです。

印紙代……借り入れが1,000万円を超えて5,000万円以下の場合は2万円です。売買契約や請負契約も同様で、5,000万円を超えると6万円になります。

登記の諸費用

所有権の保存登記……不動産価格の4/1,000(住宅取得の特例 1.5/1,000 2017年3月31日まで)

所有権の移転登記……不動産価格の20/1,000
(住宅取得の特例 土地の売買15/1,000 2017年3月31日まで)
        住宅の取得3/1,000 2017年3月31日まで)

抵当権の設定登記……債権金額の4/1,000
(住宅取得の特例1/1,000 2017年3月31日まで)

住宅に関する税率には上記のように特例があります。2016年の暮れに政府が発表した2017年度「税制改正大綱」により、上記の特例は延長される予定です(土地の所有権移転については2019年3月31日、その他については2020年3月31日)。

取得する住宅には条件があり、また制度は度々改正されますので、詳細は個々に確認ください。特定認定長期優良住宅、認定低炭素住宅等はさらに減税となります。

重要なことは全容を把握して、優先順位を決めて、支払う時期のスケジュール表を作成することです。一般に販売業者や住宅メーカーであれば、諸費用の額と必要時期の情報は詳しく教えてくれると思いますので、早めに諸費用の全容を把握しておきましょう。

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

※画像は本文とは関係ありません