2017年1月は、iPhoneが発表されて10周年を迎えたが、1月27日はiPadが発表されて7周年となった。2010年1月に発表され4月に発売された9.7インチのタブレットは、iPhone同様、スマートフォンよりも大きなスマートデバイスのスタンダードを作り上げた存在である。iPadはAppleの決算期で、2010年第3四半期に発売された。2014年第1四半期(2013年10-12月)の販売台数2,604万台をピークに、販売台数は下降トレンドを辿っている。

iPadはこれから、どのような製品となるのだろうか。

iPadは長らく9.7インチというディスプレイサイズ、iPhoneよりも高速なAシリーズのプロセッサ、iPhoneと同じホームボタンとマルチタッチディスプレイ、そしてiPhoneと同じApp Storeでのアプリ配信・販売、という要素を備えたiOSが動作するタブレットだ。

2010年4月に米国でiPadを手に入れてまず気づいたことは、当時のノートパソコンと比べて圧倒的に持ち運びやすく、しかもメディア消費やなんらかの作業を行う上で適度な広さのディスプレイを備える、というデバイスそのものの狙い所のうまさだった。サイズというデバイスの特性と、iPhone譲りのアプリによる用途の拡大の方法論は、新しいカテゴリのコンピュータとして誕生したように感じられた。

発売当時、いち早く導入した中古車販売店は、顧客とのコミュニケーションに変化が出たといった話を聞いた。これまで店舗ではパソコン、客先ではノートパソコンを用いていたスタッフがiPadに切り替えることで、垂直に立っているパソコンの画面でコミュニケーションが遮られることが減ったという。机の上に平起き、もしくはカバーで傾斜をつけて置いているiPadの画面を一緒にのぞき込む方が、コミュニケーションを取りやすくなるとのことだった。

コンピュータやインターネットを用いた教育の導入は、日本の教育機関における急務と言えるが、デバイスの形状由来による特性のメリットは、教育現場でも指摘されている。また、タブレットは結果的に「現実的かつ低コストの投資」を実現している。

コンピュータを導入しよう、パソコンを教室に整備しようとすると、既存の机ではノートや教科書と共存させることが難しかった。特別な机と電源などを導入しなければならないのに比べれば、これまでの教室の設備で対応できるiPadはコストの面でのメリットも高い。もちろん、iPadなりパソコンなりを導入して何に使うか、という問題があるが、これは本連載で後ほど採り上げる立教小学校のiPad導入の事例で触れたいと思う。

コンピュータと携帯電話の中間的な存在は、新しい場面でのコンピュータの活用というシーンを作り出している。