【インタビュー】

保育園へ預ける罪悪感はどう解消する? 働くママが実は"しなくてもいいこと"

「いつも笑顔でいなきゃ」「子どもに友達を作ってあげなきゃ」……。子どもを愛しているからこそ、気づけばがんばりすぎてしまう子育て。しかし、保育士の目線から親子を見ていると、"そんなにがんばらなくても、親子でもっとハッピーになれる!"と思うことがたくさんあるようです。

左から、小笠原舞さん、小竹めぐみさん

今回は、保育士起業家であり、このほど『いい親よりも大切なこと~子どものために"しなくていいこと"こんなにあった~』(税込1,296円/新潮社)を出版した小竹めぐみさんと小笠原舞さんにインタビュー。現場での経験や、親子で通う子育て講座「おやこ保育園」の運営を通して分かった「親子が楽になる術」を教えてもらいました。

親子が"ずっと一緒にいる"のは、しんどくて当たり前

――働くママ、特に保育園に子どもを預けることに罪悪感を抱く方が多い印象なのですが、やはり子どもとは、できる限り一緒にいてあげたほうがいいのでしょうか?

小竹さん(以後、敬称略): 子どもと関わる時間が少ないということに、「ごめんね」という気持ちを持っているママは、確かに多いです。そして、もっと構ってあげれば、うちの子はこんな風にかんしゃくを起こさないのではないか……など、自分が忙しいせいで、子どもの育ちに悪い影響を与えているのではないかと、考えがちなようです。

でも私たちは、全然そんな風に思っていません。ママが働くというのは、家族にとっての、ベストな選択だったわけですよね。むしろ、子どもに対して、「ごめんね」より「ありがとう」を大切にしてほしいと思っています。いい選択肢を取るために、お互いがそれぞれがんばっているのですから。

そもそも、親子だからといって、ず~っと一緒にいるってしんどいことです。子どものペースと大人のペースは違います。全く違う種類の生き物なのだと考えてください。子どもは大人に合わせようとしませんが、大人は子どものペースに合わせようとしたり、気にかけたりするので、ものすごく神経を使います。それでイライラしたり、子どものことを100%愛せなくなったり、疲れて体を壊したり……ということもありますよね。

限られた時間の中で、その時間をいかに濃厚に過ごすのかを考えるほうが、よっぽど大事だと思っています。

小笠原さん(以下、敬省略): 親が全て教えてあげられるわけじゃないし、例えば保育園で同級生どうしがけんかするのは、親とのけんかとは全く違う学びがあります。家庭の外でしか、学べないこともたくさんあるのです。

そう考えると、子どもに対して「保育園で時間を楽しく過ごしてくれてありがとう」と伝えた方が、罪悪感も無くなりますし、その分、親子関係も良くなっていくように思います。子どもに感謝の気持ちを伝えると、すごく満足そうな、うれしそうな顔をします。普段なかなか言葉にしていないかもしれませんが、伝えることを大事にしてほしいですね。

――ママも自分を責めないでほしいですね

小竹: 例えば、保育園に預けた子どもが病気になったとき、パパとママ、どっちが迎えに行くか調整がつかない、というケースがあったとします。「子どもを振り回してしまった……」「なぜ夫は迎えに行ってくれないのか」「この子がかわいそう」などという思いが強くなってしまうようです。しかし、"事実ベース"で見ていくと、少し気が楽になります。

分かっている事実として、「私は迎えに行けない」→「夫も行けない」→「ではどうするか」。そして振り返るときも、「あの状況は、すごく難しかったね」で、終わり。

焦っていると感情が爆発してしまいますよね。すごく大変なことが起きているわけでもないのに、どうしても、ネガティブな方向に考えが進んでしまいます。人間らしさとも言えますが、状況に対して感情が必要以上に入ってしまうと、解決法を考えないとならない時に、自分や相手を責めてしまったり、自らつらさを倍増させてしまったりします。

世の中のママは、がんばっている人だらけ。それぞれ「自分のベストをみんなやっているよ」「もう必要なことはできているよ」と伝えたいです。

"ママだからがんばらなくてはいけない"というのが多すぎる

――親子関係を楽にする方法というのは、具体的にはどういうことでしょうか

小竹: 例えば「しかり方」についても、怒らなくていいとか、怒ったほうがいいとか、さまざまな意見がありますよね。でも、どちらが正しいというわけではなくて、自分が決めたら、それでいいんです。子どもが悪いことをしたら、自分の素直な感情的を出しながら怒るのがいいと思っている人はそれでいいし、よくないと思っていながら怒ってしまったら、その後子どもに謝ればいい。実は一番つらいのは、どちらがいいのか分からず揺れている、不安な時なのです。

小笠原: 世の中で"子どもにとっていい"と言われていることが、全て自分の子育てにフィットするかというと、そうではないと思います。世の中には、"ママだからがんばらなくてはいけない"というのが多すぎる気がしています。でも、Aという方法に心を揺さぶられる人もいれば、Bという方法に揺さぶられる人もいます。どちらを選ぶかは、その人の個性です。

――さまざまな育児の情報に振り回されないようにするのも、大変なことだと思います

小竹: これまで、自分が何かを選択するとき、どのように選択して納得してきたか、考えてみてください。例えば家電を選ぶとき、旅行先を選ぶとき、直感で決めていましたか? それとも、比較して決めていましたか? 自分で徹底的に調べる人もいれば、信頼できる人に相談する人もいると思います。

その自分に合った選び方で、どんな子育てをしていくか、納得して決めていけるといいと思います。

自分らしい子育てを選ぶためには

小竹: 子どもは「いい親になって」なんて思っていません。ママと一緒にいたいとか、ママが笑っているのが好きという、シンプルな思いを持っています。一方で大人は、「この子のためにできることを、全てしたい」と考えます。そしてそれは、世の中で一般的に「良い」とされていることになりがちです。

小笠原: ママにも自分らしさがあるように、子どももママと違った個性を持っています。ママが自分と向き合うことで、子どもがまるで鏡のように自分と似ている部分を持っていることや、反対に違う部分を持っていることに気づけます。親子だけれど、人と人として、子どもとの関係を考えてみてほしいなと思います。

仕事と違う楽しみを、子育てで味わって

――子どもができると、仕事に打ち込んでいた生活から一変、育児に全力投球する生活に変わることに、戸惑いを感じるママも多そうです。

小笠原: 仕事と子育てって、ものさしが違いますよね。子育ては、仕事のような短期ゴールもないし、答えもないし、すぐに結果も出ません。プロセス重視のものさしなんですよね。結果重視のものさしだけで子育てをすると、子育てがつらいと感じることも、あるかもしれませんね。

小竹: 一方で、山歩きが好きな人や漁師さんなど、自然の近くにいる人は、臨機応変に慣れている分、子育てが少し楽かもしれませんね。子どもは、いつ機嫌が直るのか、悪くなるのか分からないというように、先の予想ができなくて大変なこともありますが、そのような人たちに聞くと「そこが楽しい」と言ってくれます。

山歩きをしていると、頂上からの景色は毎日違うし、見えない日もあります。でも、仕方がないですよね。漁師さんも、自然の状況次第で船が欠航することもありますが、仕方がありません。でも、そんな日々の変化があることが、楽しいそうです。

毎日同じ時間の流れを過ごしているように思えますが、子どもといると「こんなに毎日が違ったんだな」ということに気づけます。子育てはもちろん大変なことも多いのですが、大人だけでは見えない世界も、2倍楽しめるという感覚で、親子でたくさん楽しさを見つけてほしいと思っています。

『いい親よりも大切なこと~子どものために"しなくていいこと"こんなにあった~』(税込1,296円/新潮社)

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