【インタビュー】

日テレ内を口説いた、2.5次元イケメンドラマ『男水!』 - プロデューサー2名が語る、企画の裏側

1 局内でも驚かれる、Webの反応

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『テニスの王子様』『弱虫ペダル』『刀剣乱舞』などの漫画やゲームを舞台化した作品は現在、「2.5次元」と呼ばれている。すでに「日本2.5次元ミュージカル協会」という団体も設立され、海外からも日本のカルチャーとして熱い視線を送られている作品群はまた、多くのイケメン役者が出演していることで人気を得ている。一方で、テレビを中心とした視聴者にとってはまだ知名度が低いという状態でもある。

日本テレビ系列で始まるドラマ『男水!』(21日スタート毎週土曜 24:55~)は、そんな2.5次元舞台で活躍する選りすぐりのイケメンでキャストを固めた作品。主役だけでなく、出演するほとんどの役者が舞台で活躍し、実際に同作の舞台公演も行うのが特徴だ。舞台とテレビを新たに橋渡しするこのドラマはどのような意図で生まれたのか、プロデューサー2人に話を聞いた。

(左)■深澤耕輔
ポリゴンマジック Lobby Studio所属。プロデュース作品にミュージカル『忍たま乱太郎』第一弾、ミュージカル『AMNESIA』、音楽劇『金色のコルダBlue♪Sky』、ミュージカル『ヘタリア』、歌劇『明治東京恋伽』、ミュージカル『スタミュ』など。

(右)■渡部智明
日本テレビ 編成局総合コンテンツ部。1992年入社。これまで関わった番組に『発明将軍ダウンタウン』『ぐるぐるナインティナイン』、ドラマ『ごくせん』『女王の教室』『喰いタン』、アニメ『ばらかもん』『曇天に笑う』『金色のコルダ』など。

日テレのアニメから巡り巡って今回の企画に

――まずは今回の企画において、お二人の役割を簡単に教えてください。

渡部:私は日本テレビのプロデューサーとして企画を立てた時に通すという役割でした。今回、キャストに関しては深澤さんにお任せしたので、一緒に確認しつつ局内の交渉を行いました。

深澤:私は従来2.5次元の舞台製作をやっていたので、各事務所の方々ともお話をしながら、全体を進めました。

渡部:私がバラエティ、ドラマ、アニメと色々な部署を経験していまして。担当していた『曇天に笑う』『金色のコルダ』といった作品が舞台化した際に、2.5次元デビューをしていたんです。AnimeJapanやコミックマーケットといった国内のアニメ関連イベントで出展していた日テレのイベントステージで、深澤さんにイベント制作をお願いしたのが、直接一緒にお仕事したきっかけでしょうか。

深澤:そういった背景があったので、渡部さんは2.5次元に対しても理解があり、活躍している若手の役者も知っていて、「彼ら、いいよね」とずっと言ってくださっていたんですよ。

――渡部さんは、今はドラマの制作をされているんですか?

渡部:編成局の総合コンテンツ部という、ドラマもバラエティもやる、何でも屋みたいな部署に異動になりまして。何かドラマ作品をできないかなというところで、今回の企画が生まれました。

深澤:渡部さんとは「いい役者がたくさんいるよね」という話をさんざんしていたので、いっそ彼らで、というのがスタートでした。一人ひとり、ファンも多いですし、場数を踏んで実力もある。でもやっぱり、彼らの舞台と映像の世界には断絶があって、現状だと行き来する可能性が低いのがもったいないなと思っていたんです。そこへ今回の話で、企画としても新しいし、きっとお客さんは受け入れてくれるんじゃないか、従来のファンじゃない人にも届くんじゃないかと思いました。

「1年後には連ドラに出ますよ」という口説き文句

――先日キャストインタビューをしたところ、「この企画を通した日本テレビさんがすごい」という感想もあり、局内では「2.5次元」を知らない人もたくさんいたのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

渡部:ほとんど知らないですね(笑)。ただ上の人は面白いと言ってくれたので、ある程度いけるだろうと踏んで、とりあえずキャストをおさえました。舞台は全然スパンが違って、先の先まで作品が決まってしまうので。

深澤:今でこそ言えますけど、夏くらいまでは正式な決定が出ていなかったですもんね。

渡部:だましだましでやっていて(笑)。

深澤:でも、日テレ内の調整をするのは相当大変だったんじゃないですか?「2.5次元」というワードを知っている人たちはいたけど、それが何かまで知っている人たちは、ほぼいなかったんですよね。

渡部:資料もけっこう作りましたね。舞台の動員力はどれくらいあって、物販はどれくらい売れるとか……。

深澤:私も、何度も通いましたもんね。

渡部:深澤さん、相当日本テレビに来ていました。入構証も作って、何回も社員食堂で食事していきましたよね(笑)。

深澤:本当に、一般的な知名度がない役者さんで地上波のドラマを作るのは、なかなか難しかったと思うんです。ただ日本テレビさんって、新しいものに対して、先に手を出すという気風があって。みなさん「スターの卵がいるんだったら、売り出していきたい」といった雰囲気はありました。

渡部:先物買いというのか、この中からもしかしたらスターが出るのかもしれないなら「賭けようよ」という気持ちはありました。今、新人の役者って、NHKの朝ドラくらいしか知名度を上げる場がなくて、もったいないんですよね。2.5次元の素晴らしい役者たちを見せたいし、「1年後には絶対に、連ドラに出ますよ」といった口説き文句を使って、社内をぐいぐい押して行きました。

「Webを強化しよう」というテーマ

――例えば舞台関係のニュースを掲載すると、一般的にあまり知られてない方にこんなに反響があるんだ、と驚かれることがあります。Webで宣伝できるからこそ、こういった企画が成り立つという点もありますか?

深澤:「Webを強化しよう」というのは、最初からテーマでした。キャスト陣は、みんなTwitterやInstagramをやっていて、アカウントのフォロワーがそれぞれ何万人もいるベースがあって、彼らの発信力は重々知っていました。今の舞台の若手俳優の中で本当にトップスターがそれぞれ発信したら、かなりのリーチ数になります。Webからどれだけ発信できるかというのは、彼らの武器でもある。この作品を通じて、けっこう日テレ内でも風向きが変わっていきましたよね。

渡部:情報出しの結果は常に社内にあげていますが、「すごいじゃん、人気あるの?」と、どんどん見る目が変わりますね。他の番組のプロデューサーから、キャストについて聞かれたりすることもあります。『PON!』にも4日連続でキャストが出演しましたが、それも社内で情報系のプロデューサーに企画書を配って、興味を持ってもらえた結果です。いろいろな反響があれば、今後も他の番組でも扱ってもらえるのではないかと思っています。

深澤:結構評判も良いんですよ。『東京暇人』という深夜の番組に出た時は、最初2週の予定だったんですけど、撮れ高が多くて「3週やりたい」と言ってもらえて。

渡部:数字的にもけっこう良かったみたいです。見てみるとイケメンがそろっていますし。ただ彼らも人気で、スケジュールが埋まっているのが、なかなかジレンマだったりもしますけどね。

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目次
(1) 局内でも驚かれる、Webの反応
(2) 役者の熱さが、テレビ局内にも伝染
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