日本の平均寿命は現在、男性が80.79年、女性は87.79年(2015年簡易生命表より)と年々延びており、今や日本は世界一の長寿国。今後も長寿化は進むことになります。そんな、高齢者が増えていく社会構造の中で、今、働き盛りの人たちが老後を迎えた時の生活保障はどうなるのでしょうか?

人口比率でみる高齢者割合の現状と未来

内閣府発表の平成28年版高齢社会白書によると、現在の高齢者人口(65歳以上の人口)は約26.7%。4人に1人が65歳以上という構造です。

老後の家計を支える公的年金制度は、給付する年金の原資を現役世代で支える、という仕組みになっていますので、つまり現在「現役世代3人でひとりの高齢者の生活を支えている」ということになります。また、約45年後の2060年には高齢者の比率が39.9%に達すると予測されていて「現役世代1.5人でひとりの高齢者の生活を支える」という時代がやってきます。そんな状態で将来の生活は大丈夫なのか? 心配になりますよね。

公的年金で受け取れる金額

そこで現実を知るために、まずは現在公的年金を受け取っている人たちの平均受取額を見てみましょう。

現在公的年金を受け取っている人達の平均受取額

国民年金と厚生年金とでは、老後に受け取る年金額に差があることに注目してください。この理由は、国民年金保険料は性別・年齢・所得にかかわらず一律(2016年度は月1万6260円、毎年見直される)ですが、厚生年金の保険料は報酬月額×規定比率という仕組みで収入が高いほど保険料も高くなりますので、その分、受取額も多くなるということです。

老後の生活費、いくらあれば安心?

次に、老後の生活費の具体的な金額について考えてみましょう。財団法人生命保険文化センターが発表した「生活保障に関する調査/2016年度」によると、一世帯(夫婦)で老後に必要とされる生活費は次のようになっています。

一世帯(夫婦)で老後に必要とされる生活費

足りない老後資金は3,000万円以上?!

例えば、一切贅沢をせずに最低限の生活をする場合、厚生年金加入の人はぎりぎりなんとかなりそうですが、国民年金加入の場合は毎月9万円不足します。65歳の人の平均余命は男性で約19年、女性で約24年です。男性の平均余命で考えると、9万×12カ月×19年=2052万円の不足です。また、ゆとりある生活を送りたいと考える場合は、厚生年金加入の場合でも月約13万円の不足となり、平均余命まで合計約3,000万円近い不足となります。加えて、高齢者の人口比率が増えるわけですから、それ以上に不足が生じる可能性が高いことになります。

不足分の確保、どうすればいいの?

不足額の確保には、退職金の活用や、老後も仕事をして収入を得る方法、節約などの工夫をする、または早い段階から積み立てていく方法など、複数考えられます。いずれにしても、早いうちから計画や対策を立てておくことが、安心の老後をむかえるための大切な心構えです。

また、今年から確定拠出年金法の改正施行が行われており、これまで確定拠出年金(401k)に加入できなかった公務員や専業主婦でも加入が可能となりました。これは、行政側も、自分の老後に自分で備える「自助努力」を推奨している、ということでもあります。

確定拠出年金は税制上の優遇があるなど、老後の資産形成に大変有利な制度ですので、活用してみてはいかがでしょうか。その他、個人年金保険や、積立となる終身保険や養老保険の活用、また今は、日本では低金利ですが諸外国の有利な金利を活用できるような、外貨による積立式の保険商品なども人気があります。

この機会に、自分の将来に向けた資産形成について興味を深めていただければと思います。

<著者プロフィール>

牧山真一

保険見直し本舗 テレマ事業本部 対面事業部中部エリアマネージャー。1979年神奈川生まれ。2009年保険見直し本舗入社後、テレマーケティング事業部にてコールセンター運営に携わる。コンサルティングアドバイザーとしても関東を中心に活動。「最適な保険選びのパートナー」として、これまで個人の保険相談から法人に至るまで数多くの保険見直し、保険相談に対応。

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