【レポート】

割り勘アプリ「paymo」は日本のキャッシュレス化を進められるか

オンライン決済サービスを提供するAnyPayは1月19日、個人間の割り勘アプリ「paymo(ペイモ)」のサービスリリース発表会を行った。

AnyPay、個人間の割り勘アプリ「paymo」をリリース

割り勘+コミュニケーション

「paymo」はユーザー同士が個人間で手軽に割り勘ができるアプリだ。飲み会などで飲食代を立て替えたユーザーがアプリから請求し、請求を受け取ったユーザーはアプリ経由でクレジットカードかアカウント残高もしくはポイントで自己負担分を支払う。立て替え分として受け取ったお金はpaymo内で次の支払いに使用するか、自分の銀行口座に引き出すことができる(入金されたお金を銀行口座に引き出す場合は1件あたり200円の引き出し手数料が発生)。

paymoのイメージ(発表会資料より)

請求時にはコメント入力やキャラクターのスタンプが利用できるので、「この前の飲み会代、よろしく!」といったように、簡単なコミュニケーションが可能だ。アプリユーザー同士であればそのまま請求情報を送信し、アプリ同士でのやり取りがない場合は直接URLかQRコードを送付して請求する。

請求をする流れ(発表会資料より)

日本における電子決済サービスはまだ遅れている

AnyPay 代表取締役社長の木村新司氏はニュースキュレーションアプリ「Gunosy」創業者の一人としても知られる人物。2016年に木村氏が設立したAnyPayは、paymoの他に小規模事業者向けクレジットカード決済プラットフォームサービス「AnyPay」も提供している。木村氏がAnyPayを立ち上げて決済事業に参入した背景には、「海外で感じた日本の不便さ」が根底にあるという。

木村氏「日本はモバイルを中心とした電子決済サービスが遅れている。その理由は『日本のサービスが非常に行き届いている』からである。例えば、日本は人口あたりのATM設置台数が世界でも突出しており、電子決済をせずともすぐにATMで現金を引き出せる環境にある。同じ理由でデビットカードも海外と比べて普及しておらず、ネットバンキング利用率も低い」

だが、世界におけるモバイルを中心とした電子決済市場は変革期を迎えている。木村氏によると、電子決済化が最も進んでいるのは中国で、アリババ系列の「Alipay」や「WeChat Pay」が普及しており、屋台でも電子決済を使えるほどだという。アメリカでもモバイルウォレットの「PayPal」やモバイル送金決済の「venmo」などがあり、電子決済が日常で行われている。

シンガポール在住の木村氏はこうした世界とのギャップを肌で感じ、「日本のキャッシュレス化を加速させていく存在になりたい」と思い、サービスの提供に至ったそうだ。

アメリカと中国の電子決済サービス(発表会資料より)

paymoがあえて「割り勘」に特化した理由とは

サービスが遅れているとはいえ、日本でもLINEやYahoo! JAPANなどが電子決済サービス市場に参入している。その多くは「割り勘」だけでなく、「送金」機能も併せ持っているが、paymoはあえて「割り勘」のみに特化したサービスとなっている。その理由について、AnyPay 取締役の日向諒氏は次のように語った。

日向氏「なぜ割り勘に特化したかというと、モバイル決済が行われるシーンは飲食店が一番多いから。そのモバイル決済のほとんどが割り勘のトランザクション(取引)だ。venmoの月間流通額は1,200億円以上まで成長し、さらに加速している。割り勘アプリは立て替えた人と請求された人がそれぞれアプリをダウンロードし利用するため、バイラル性が非常に高く、メッセンジャー系アプリのように非常に高いペースで広がる可能性がある」

電子決済市場の転換期が起こる(発表会資料より)

また「送金」というサービスは、身元がわからない相手にも使えるため、不正利用される危険がある。資金移動業者が扱う送金サービスでは、不正防止のためにユーザーは免許証などの個人認証を行わなくてはならない。しかし、その手間がアプリ利用の大きな障壁となる。割り勘の面倒くささを少しでも減らすためアプリを使おうとしているのに、逆に手間が増えてしまうのは本末転倒だ。

一方、paymoが扱う「割り勘」は「個人間送金」ではなく、個人間に発生した「債務」に当たる。支払い請求時に債権の証拠となるレシートの写真を添付させ「債務」という形式にすることで、免許証の登録などの手間をなくすことに成功した。ユーザーは姓名、ID、アドレス、パスワードを登録し、クレジットカードなどの支払い方法を入れるだけで、決済手数料無料で自由に支払いや請求ができる。

終わりに

サービスのターゲットは、モバイル決済利用経験が高く、アプリへの親和性がある20代~30代の社会人。この年代は、友人同士や会社での飲み会、合コンや女子会などの機会が多く、「割り勘」に遭遇するシーンが多々ある。

彼らの中には、お金を立て替えたが手元に細かいお金がないからとなかなか払ってもらえなかったり、どんぶり勘定にされてしまったりといろいろ面倒くさい思いやトラブルを経験してきた人も多くいるだろう。

「楽しかったあとの面倒」をちょっと手軽に

割り勘アプリはそのような「楽しかったあとの面倒」をちょっと手軽にしてくれるサービスだ。幹事はその場でお金を集める手間が減り、クレジットカードで立て替え決済すればポイントがもらえる。支払いはその場でオンライン決済できるので、「次に会ったときに返すね!」といってそのまま受け取り忘れることも減りそうだ。請求された側も、請求額が1円単位であっても小銭を用意することなくスマートに返済でき、こちらもクレジットカードで決済すればより便利になる。

現金より楽でお得に使える割り勘アプリ「paymo」。その手軽さが日本の電子決済市場を大きく変える日が来るかもしれない。

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