クルマの電子化・電動化、ADAS、自動運転、軽量化など、自動車業界における最重要テーマの最新技術を一堂に集めた展示会「第9回 オートモーティブワールド(オートモーティブワールド2017)」が2017年1月18日から20日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている。同展示会において、ON Semiconductorの日本法人であるオン・セミコンダクターでは、18日に発表した静電容量タッチセンサ用容量デジタルコンバータ「LCJ717A30UJ」のデモや、Audi R8に搭載されているレーザーヘッドライトの実機デモなどを行っている。

Audi R8のレーザーヘッドライトは、LEDに代わる次世代ヘッドライトとして期待される技術の1つである「レーザー」をLEDと併せて搭載したもの。LEDならびにレーザーは同社のハイパワーLEDドライバ「NCV78763」を2つ用いて独立して制御されており、実車でのレーザー光は時速70km以上のハイビーム照射時で、周囲が暗い状況にあれば使用するという条件が付けられている。照射距離は500mとのことで、今回のデモではレーザーの出力を抑えているが、横向きでの照射は危険なため、天井に向けての照射となっているが、会場天井が明らかに明るくなる様子を見ることができる。

左がレーザーON、右がレーザーOFFのAudi R8のヘッドライト。明らかに明るさが違うことが分かる

一方のLC717A30UJは、同社としては第3世代となるタッチソリューション。耐EMIに優れる相互差動容量センシング方式を採用しており、従来世代に比べ、感度や精度、耐ノイズ性能を向上したほか、自動キャリブレーション機能も内蔵するなどしたことで、フェムトファラド(fF)単位の容量変化を検知可能とする高入力分解能レンジを実現したほか、近接距離15cm(距離に応じて8段階の輝度調整が可能)での検知を可能とした。

また、相互差動容量センシング方式であるため、水に触れた状態での利用も可能。そのため、自動車のドアノブなどでの利用も可能となっている。また、複数の基板が利用できる評価キットもすでに用意されており、用途に応じた開発が可能となっている。

LC717A30UJを用いたデモの様子。左は車内灯をイメージしたもので、ライトの上に手をかざすと明かりが灯る。輝度は手をかざした高さに応じて8段階に変化する。中央と右は水が流れている状況でも動作が可能なことを示すデモ

LC717A30UJの評価キット。右写真の中央のチップがLC717A30UJ