クルマの電子化・電動化、ADAS、自動運転、軽量化など、自動車業界における最重要テーマの最新技術を一堂に集めた展示会「第9回 オートモーティブワールド(オートモーティブワールド2017)」が2017年1月18日から20日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている。同展示会において、Linear Technologyの日本法人であるリニアテクノロジーブースでは、日本初公開となる6LoWPANや802.15.4eをベースとしたメッシュネットワーク技術「SmartMesh」とバッテリマネジメントシステム(BMS)を組み合わせたワイヤレスBMSを実証するコンセプトカー(BMW i3ベース)の展示を行っている。

BMW i3ベースのワイヤレスBMSコンセプトカー。残念ながら、バッテリ部分を見ることはできない

同コンセプトカーは、従来のi3のリチウムイオン・バッテリーで用いられてきた各セルごとに有線で接続する方式を、各セルにメッシュネットワークを構築することが可能なダストネットワークの無線ICを搭載することで無線化し、BMS ICとも無線で接続したもの。無線接続の通信品質は99.999%とのことで、同社のこれまでのノイズの大きい環境下などでのテストにおいてもパケットロスが生じたことはないとする。

この結果、1台当たり約10mのワイヤと約0.5kgのコネクタやトランスなどの削減が可能となったほか、ワイヤのスペースがなくなった分、多くのリチウムイオンバッテリを搭載できるようになったとのことで、搭載容量は従来の33kWhから55kWhに向上できたという。ちなみに、まだスペースがあるとのこと(実際は試験装置などを搭載するスペース)で、そこまでバッテリを積めば65kWhを超せ、走行距離500kmをうたえるようになるという。

ワイヤレス化により、ワイヤハーネスの量が減り、コンポーネントの数も減らせた結果、バッテリの積載量を増やすことができたという

なお、同社では、現在、ISO26262に準拠した次世代のSmartMeshチップの開発を進めているとするほか、今回のコンセプトを実証できるリファレンス設計についても2017年上半期中に提供できるようにする計画としている。