Apple 表参道で、実業家の本田直之氏と登山家の栗城史多氏が、iPhone 7、アプリケーション、ApplePayなどを活用して、快適なモバイルライフを楽しむ方法を紹介するというトークイベント「旅するように生きる:本田直之/栗城史多」が開催された。

本田直之氏(左)と栗城史多氏

本田氏はレバレッジコンサルティング株式会社の代表取締役社長。少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイザーとして知られ、著書の多くがベストセラーとなっている。現在は、ハワイと東京に拠点を構えつつ、ヨーロッパを中心にオセアニア・アジアなどの国々を旅しながら、仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送っている。

栗城氏は、大学時代の山岳部から登山を始め、6大陸の最高峰を登り、8,000m峰4座の無酸素・単独登頂に成功している。2009年からは「冒険の共有」としてのインターネット生中継登山を開始した。企業や学校で応援し合うチーム作りと人材育成を専門とした講演も行っており、人材育成のアドバイザーとしての活動にも注力している。

イベントは両氏のマラソンやる人どれくらいいますか? 登山する人どれくらいいますか? というオーディエンスへの問いかけから始まり、本田氏、栗城氏の順でビデオで普段どんな生活を送っているのかを紹介した。

栗城氏のインターネット生中継登山は、衛星回線を利用しiPhoneで撮影を行っているそうだ。現在は少し安くなっているとのことであるが、回線使用料が非常に高額だという実情を伝える。中継登山を始めた頃、好きな「スルメ」の画像をFacebookにアップロードしたりしていたのだが、一枚画像を上げるのに5万円くらいかかったと当時を思い返す。

本田氏は栗城氏のビデオを見て、こういう体験は後から話として聴くことはできても、リアルタイムで共有するのは出来なかった、話だけだと伝わらない部分が伝わってくると指摘。iPhoneをはじめとしたモバイルデバイスの進化、インフラの発達により、我々は確かに10年前なら考えられなかったことができるようになっている。

エベレスト登頂にまつわるエピソードを栗城氏が開陳したのち、本田氏が何度も挑戦しているトライアスロンの話題へ。水泳、自転車ロードレース、長距離走という3種目で構成されるトライアスロンは、過酷な耐久競技であることで知られているが、苦しいときに「ありがとう」と考えることで何度も救われたと本田氏は振り返る。

本田氏は昨年、ホノルルマラソンの準備中に肉離れを起こしてしまい、治療のために暫く走れなかったらしいが、その間、体重が急激に増えてしまったと吐露。その時に何とかしないとと、一念発起し、太らない体づくりを目指したそうだ。周囲の人にヒアリングしてみたところ、食生活やトレーニングはもちろんだが、重要なのは習慣的に「動く」ことが大切だということに気付き、改善に努めるようになったとを明かした。ヘタすると、一日に10歩とか20歩とか動いてないこともあって愕然としたそうだが、iPhoneの「ヘルスケア」アプリからマメに「歩数」をチェックするようになったという。自分の習慣が分るようになるのは凄い、ありがとう、Appleと、再び「ありがとう」が飛び出した。

iPhoneの「ヘルスケア」アプリ

普段から歩くことを心がけるようになってからは大体、1万歩を目安にしている模様だが、加えて、習慣自体も変えてしまおうと、「Life Cycle - Track Your Time Automatically」や「Sleep Cycle alarm clock - 睡眠アプリ」を利用するようになったと本田氏。この2つのアプリをセットにして使い、起きてる時間も寝てる時間も記録をつけるようにしたことで、日々の生活の分析に役立てている。飲み過ぎると明らかに快眠度が落ちるということや、ハワイにいるときと東京にいるときで眠りの深さが異なるといったことが把握できるようになると、その効用を説く。

栗城氏の「本田さんの今年イチオシのアプリとかサービスって何ですか?」という質問から、話題はApple Payへ。海外では小銭はもちろん、現金を持つ文化がないところが結構あるという話を引き合いにしつつ、クレジットカードを使ってサインする必要すらないと、Apple Payの利便性を力説する。物理的な紙幣は持ち歩くのに邪魔というだけでなく、紛失や盗難されるの恐れがある、だが、データ上にあるものはなくなったりしないし盗みにくい、かつ、サイフも要らない、と、将来的に現金の流通はなくなるのではないかと予想を打ち出した。Apple Payが昨年、日本でもようやく使えるようになったことについては、ありがとう、Appleと、三度の「ありがとう」が。

昨年から日本でも利用できるようになったApple Pay

続けて、本田氏は、先ほどの生活習慣を記録するようになったのと関連して、体重も記録するようになったというフリから、おススメのアプリとデバイスを紹介。「Withings」のWi-Fi機能を装備した体重計と「Health Mate by Withings - 歩数トラッカーとフィットネスコーチ」を使って、実は友人と体重の情報を共有していると打ち明ける。互いに何月までに何kgといった風に目標体重を決めて競争することで頑張れるのだと語気を強めた。

「Withings」のWi-Fi機能を装備した体重計

こういった身体的な情報を共有できることに関しては、両氏は大きなメリットがあると感じている様子。栗城氏は、例えば、頂上近く登って、体調がすぐれないというときは、iPhone経由でドクターストップをかけられるのではないかと意見した。

この日はiPhoneが発表されて10年となる記念すべき日でもあったのだが、10年前と今とでは隔世の感があると、本田氏は述懐。当時は、どうやって使うの? キーないよ? こんなの売れないねと、周囲の評価は散々だったそうである。しかし、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを統合するiPhoneのプラットフォームは、急速な成長を遂げ、人々の生活に欠かせないものとなった。iPhoneのさらに10年前はインターネットも使えるようになって間もない時期だったから、この進化の速度は改めて凄いと感じているようだった。次の10年はここにいる皆さんがエベレストに登頂できるようになってるかもしれないと栗城氏はジョークを飛ばし、大いに盛り上がっあったところでイベントは幕を閉じた。

本田氏、栗城氏ともに、今あるテクノロジーを利用して旅や仕事、日々の生活をより、リッチに楽しんでいる。その中で、二人ともiPhoneは手放せない存在になっているのだ。iPhoneが我々の生活をさらに豊かにし、どのように新しい世界を切り開いていくのか、今後ますます楽しみである。