さて、これまでの高速バスと比べ、段違いで豪華なのはわかった。とはいえ、高速道路を移動する乗り合いバスであることにはちがいなく、新幹線や旅客機に対して移動時間という点で優位性があるわけではない。事実、この豪華バスの大阪方面の出発時間は22:50、到着予定は7:30となっている。サービスエリアでの休憩時間を挟むにしても、8時間以上の移動となる。

両備ホールディングス 代表取締役会長 兼 CEO 小嶋光信氏

だが、こうも考えられる。東京から大阪出張におもむき、仮に朝9時に先方にアポイントがあった場合、向こうでの移動時間を考えたら朝8時には現地にいたい。乗換案内で東京→新大阪、到着朝8時で検索したところ、前日夜遅く出発の夜行乗り合いバスが表示された。つまり、新幹線を利用する場合は、前泊ということになる。それならば、豪華装備のバスでゆったり眠っているあいだに大阪に到着するという選択肢も現実味がわいてくるわけだ。

気になる運賃だが、さすがにほかの高速バスと比べかなり高く、運賃と座席料金合わせて大人一人20,000円になる(2月28日まで18,000円)。新幹線の新大阪までの運賃が13,620円(自由席、乗換案内で算出)だから、前泊するビジネスホテルの宿泊料が6,000円ぐらいだったら……つまり差はあまりないことになる。

関東バスのゆるキャラ「かんにゃん。」も発表会に駆けつけた

豪華列車ブームに追随した施策なのか?

さて最後に、筆者はこのドリームスリーパーの内覧会に招待された際、実はひとつの仮説を立てていた。それは、“豪華列車のブームにバス業界も便乗したのではないか”ということ。JR九州の「ななつ星 in 九州」、JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」、JR東日本の「トランスイート四季島」などなど……豪華列車の人気は高く、これらの乗車券は滅多に手に入らない“プラチナチケット”だと聞く。

「ドリームスリーパーは豪華列車の人気を意識したのか?」という筆者の問いに、両備ホールディングスの代表取締役会長 兼 CEO 小嶋光信氏も、同 代表取締役副社長も「豪華列車を意識したわけではありません」と即答した。つまり、筆者の見立ては的はずれだったのか。ウーン……。