――働き方変革の一環として在宅勤務の仕組みも持たれていますが、どのように運用されていますか?

元々弊社はシンクライアントを導入しているので、作業環境は在宅でも会社にいても同じです。他のメンバーとの情報共有はMicrosoft Lync(現在はSkypeと統合されSkype for Business)で画面共有を行う、Facetimeで動画通話をするなどしています。

Boxを導入したことで、ファイルのバージョン管理も自動で行われ、資料の同時書き込みが行えるので、会議中に資料に複数人が書き込む感覚で、リモートでもミーティングができています。

正直なところ、在宅勤務は「慣れ」の問題が大きいと考えています。対面で話すのとツールを介してのコミュニケーションを比較した際に、まだ前者に慣れている社員が圧倒的に多いので、その感覚の違いはあるかと思います。

――複数ある施策の中で利用率が一番高いのは?あるいは、社員からのいい反響が多いものを教えてください。

一番いい反応があったのは、実はこのカードです(笑)。多くの社員から好意的なコメントをもらっています。

スライドワークや時間帯有休、モバイルワークといった施策は今レビューを行っているところなのですが、こちらも使用している社員からはよい反応がありました。在宅勤務は要件を緩和したので、やりたいという社員も増えています。

――また、各種施策について、一番効果のあがっているものは?

朝型勤務です。意識の改革というか、時間の感覚に対する社員の考え方が、この施策によって変わった手ごたえがありました。

――残業せず早く帰る、というのは仕事から離れていれば常識のようにとらえられますが、いざ自分の仕事に取りかかるとそれが見えなくなりがち、ということでしょうか。

仕事の区切りが今日の就業時間だというイメージだったのだと思います。それを時間で区切って仕事をするという逆の考え方に転換したので、インパクトは大きかったと思います。

――働き方変革を進めている今と、それ以前で、社員の業務効率やプロジェクトの進行に変化はありましたか?

残業時間が減ったことによる業績への悪影響はありません。Q2の決算も、比較的好調でした。業務が適性になったと言えるかもしれません。

一月あたりの平均残業時間は朝型勤務導入後に平均10時間/月減少しています。もちろん個人で作業効率化に努力した社員がいてこその結果ですが、少なからず付き合い残業もあったと思いますし、そういうところで「帰ります」と言いやすい環境が出来たのは大きいです。

今回カードを取り入れたことで「隣の島、やたら忙しそうだな」と直接関わりのない部署の業務にも意識がいくようになったり、上長が周囲と比べて部下のマネジメントに気を配るようになったりと、予想以上に効果が上がっています。

――今後取り組みたい施策があれば、教えてください。

2016年度に開始した施策は、一言でまとめると「働く時間・場所の柔軟性を高める」ものでした。しかしまだ、社員がフレキシビリティを持って、タイムマネジメントをした上で仕事ができるまでの風土醸成には至っていないと考えています。

引き続き施策の良さを社員に知ってもらうことに取り組んでいきます。利用に躊躇している人の背中を押し、使わない人を含め、施策の利用に慣れてもらうことが重要だと考えています。

そうすることで、時間と場所が少しずつみんなズレているけれど、チームとして仕事ができていることが普通になってくるでしょう。そうなれば、さらにフレキシビリティが高い働き方が実現できるはずです。

――ありがとうございました。