フラット35、子育て世帯は金利優遇へ

政府は若い子育て世帯を対象に、住宅ローン「フラット35」の金利を0.25%引き下げる優遇措置を導入します。2017年度から始めるもので、少子化対策の一環として子育て世帯の住宅取得をサポートしようとする狙いです。

消費税が10%になる前に、住宅購入などを検討している子育て世帯には朗報! さらに住宅ローンのさまざまな金利優遇制度についてもご紹介します。

そもそも「フラット35」って何?

まず「フラット35」について、ご説明しましょう。住宅ローンは、公的ローンと民間ローンに分類されるのですが、「フラット35」は独立行政法人の住宅金融支援機構が提供する、公的ローンにあたります。

【公的ローン】
・住宅金融支援機構(フラット35)
・財形住宅融資
・自治体融資

【民間ローン】
・銀行などが提供する民間融資
・提携ローン
・社内融資

公的ローンのメリットは、何と言っても長期の固定金利を採用していることです(住宅ローンの種類によっては、変動金利と固定金利を組み合わせることも可能)。「フラット35」の場合、21年以上借入期間があれば、全期間で固定金利となります。返済額やローン返済総額が確定する安心感とともに、将来のライフプランを立てやすい点が一番の魅力です。

固定金利、変動金利の違い

民間ローンでは加入必須となっている「団体信用生命保険」(住宅取得者が死亡した場合などに返済するための生命保険)も任意加入なので、年齢や健康上の問題で保険に加入できない人も、利用しやすいといえるでしょう。

子育て世帯なら、当初5年間金利が0.25%優遇

今回の「フラット35」の金利優遇は、若い子育て世帯を対象に、借入時の金利を0.25%引き下げるというもの。条件は以下となります。

・親と同居する住宅を取得する場合(新築・中古を問わない)
・親元の近くで暮らすため、住宅を取得する場合(新築・中古を問わない)
・中古住宅を購入する場合

親世帯との同居・近居を目的とした住宅取得の場合は、新築・中古のいずれでも適用され、そうでない場合は、中古の住宅取得が条件です。対象世帯や近居等の要件は、地方公共団体が、地域の実情を踏まえて設定するとしていて、詳細は、今後確認が必要です。

3,000万円の借り入れで、約38万円の負担減

それでは、実際にこの優遇措置を使った場合、どれだけお得になるのでしょうか。3,000万円を「フラット35」(35年ローン)で借りた場合、0.25%の金利優遇がある場合と、金利優遇がない場合の差額を、2017年1月現在の金利「1.12%」として計算してみました。

金利を1.12%とした場合、フラット35の金利優遇を利用した場合とそうでない場合の比較

その結果、金利の違いにより、35年のトータルで約38万円の差が出ました。当初の5年間で約21万円の負担減、残りの期間も約17万円安くなるのは、当初の5年間の金利が低いために、元本が減るペースも速くなるからです。

お得に活用したい優遇制度

さらに、住宅ローンの金利優遇制度は、他にもあります。省エネルギー性、耐震性などに優れた住宅を取得した場合、金利が0.3%優遇される「フラット35S」や、省エネルギー・耐震性等の住宅性能を一定以上向上させる性能向上リフォームの場合、金利が0.6%優遇される「フラット35リノベ」などです。

また民間の金融機関でも、優遇制度はあります。各金融機関によりさまざまですが、例えばある金融機関では、10年間の固定金利が0.5%、その後の期間は変動金利になりますが、1.9%金利を優遇するなど、変動金利にも優遇制度を導入しているところが多いです。

住宅ローンは少しの金利で総支払額が何十万円も変わる可能性があります。加えて住宅ローンを申し込む際に支払う手数料もローンの商品によって傾向が異なります。各金融機関に足を運んで、シミュレーションしてみましょう。

金利の推移も注視し、ローン商品の比較を

最後に「フラット35」の金利推移を参考としてご紹介しましょう。

2013年からの「フラット35」金利推移

これまでの推移を見てみると、2016年夏より少し上がってきているというのが最近の傾向です。変動金利では、2017年1月で0.5%前後(フラット35の金利は1.12%)となっているので、今の金利だけで比較すると、変動金利の方がお得になります。しかし、今後金利が上昇し、1.2%や1.5%と逆転する可能性もありますので、変動金利を選択する際は、今後の金利動向に注意してみてください。

ここまで、金利の基本から金利優遇におけるシミュレーションについてお伝えしました。さまざまな観点から総合的に商品を比較し、低金利の恩恵を受けながら、家族が笑顔で住み続けることのできる住宅選びを楽しみましょう。

※写真はイメージで本文とは関係ありません

著者プロフィール

マイライフエフピー代表 加藤葉子
子育て真っ最中のファイナンシャルプランナー。子どもを授かったことをきっかけに、教育費や学資保険の仕組みなどに興味を持ち、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、3年で子どもの教育資金を貯める。現在は、全国の女性からの教育費・老後資金・起業・離婚・投資なのお金の相談を中心に執筆・マネー講師として活動しながら、ファイナンシャルプランナーの育成にも力を入れている。自身のホームページ「女性とシングルマザーのお金の専門家」でもお金にまつわるお役立ち情報を提供している。