Overclock(Discrete GPU)

Discrete GPUを使用したテストの最後に、ちょっとOverclock動作を試してみたい。といっても、これやり始めるときりがないので、あくまで軽いOverclockingとして

  • コア電圧Upはしない(あくまで定格のまま)
  • BCLKは100MHz固定
  • CPUクーラーは水冷(サイズのAPSALUS III)を定格で利用

という縛りをつけた上で、BIOS SetupでEISTを無効化し、手動で倍率を変える方法とした。ちなみに安定性検証にはAIDA64 ExtremeのSystem Stability Testを利用し、これを5分間廻して完走するかどうかで判断している。

以前にDevil's Canyon(Core i7-4790K)のテストでやった方法と同じだ。

まずSkylakeのCore i7-6700K(Photo29~36)から。Thermal Throttling無しで4.6GHzまで行き、Throttlingありの状態で4.8GHzまで堪えた。4.9GHzはAIDA64の起動直後にシステムが落ちており、常用できる最大周波数は4.8GHzとなった。

Photo29:Core i7-6700K 3.6GHz駆動。コア温度は60度前後

Photo30:Core i7-6700K 3.8GHz駆動。コア温度は60度強

Photo31:Core i7-6700K 4GHz駆動。コア温度は70度弱

Photo32:Core i7-6700K 4.2GHz駆動。コア温度は引き続き70度弱

Photo33:Core i7-6700K 4.4GHz駆動。コア温度は70度突破

Photo34:Core i7-6700K 4.6GHz駆動。コア温度変動が激しくなり、80度突破

Photo35:Core i7-6700K 4.7GHz駆動。Thermal Throttling発生。温度は平均80度以上

Photo36:Core i7-6700K 4.8GHz駆動。Thermal Throttlingが激しくなり、平均温度は90度近くに

グラフ67がこの一連のテストでの実効消費電力変動をまとめたものである。250秒あたりでピークがあるのは、このあたりで何かしら割り込みが発生しているように思える。面白いのは4.7GHzと4.8GHzでほとんど消費電力が変わらないことで、これはThrottlingによって消費電力が抑えられているためと思われる。

次にKabyLakeのCore i7-7700K(Photo37~42)。こちらもThermal Throttling無しで4.6GHzまで行ったが、Throttlingありの状態は4.7GHz止まりとなった。4.8GHzはOSのブート中にコケてしまった。

Photo37:Core i7-7700K 3.6GHz駆動。コア温度は60度前後

Photo38:Core i7-7700K 3.8GHz駆動。コア温度は平均65度位

Photo39:Core i7-7700K 4GHz駆動。コア温度は平均70度位

Photo40:Core i7-7700K 4.2GHz駆動。コア温度は引き続き平均70度位

Photo41:Core i7-7700K 4.4GHz駆動。何故かコア温度が平均65度位に下がる

Photo42:Core i7-7700K 4.6GHz駆動。再びコア温度は平均70度位へ

グラフ70がその変動の様子で、意外にも消費電力はCore i7-6700Kよりもやや少なめである。

ということで、グラフ69と70の平均消費電力をまとめたのがグラフ71になる。先にPhoto41で、KabyLakeの4.4GHzの温度が下がると書いたが、消費電力的にもこれを裏付ける結果になっており、何かしらのメカニズムがあるのだと思う。ただThermal Throttlingでないことだけはたしかだ。

それはさておき、面白いのは4.2GHzあたりまで動作周波数と消費電力はほぼ同一なのに、これを超えるとSkylakeの消費電力が急激に増える傾向があることだ。逆に言えば、4.4GHz以上に関しては「同じ動作周波数ならKabyLakeの方が少ない消費電力で駆動する」という傾向がある。

先ほどの消費電力の話と矛盾するようだが、先ほどは動作周波数が異なる状況での比較であり、今度は同じ動作周波数での比較である。つまり、14nm+プロセスの効果は確かにあるのだが、その効果をフルに使って動作周波数を引き上げた結果、KabyLakeでは平均10Wほど消費電力が増えたという話だ。ここから考えると、SkylakeをKabyLakeに変えた上で、Skylakeと同じ動作周波数設定にするのが、消費電力的には一番美味しいといえるのかもしれない。