【レポート】

半導体で実現するセキュリティ-IoTを追い風にMaximが進める新たな取り組み

半導体による認証デバイスやセキュアマイコンを長年にわたって手がけてきたMaxim Integrated。これまで、ポータブル医療機器、ウェアラブルのヘルスケア機器、決済端末、製品認証といったものを注力市場としてきたが、2016年の中ごろから、より幅広い市場に製品を展開していく方向性へと戦略を変更した。

その背景にあるのが、Industry 4.0やIoTといった技術をベースとした半導体の適用分野の拡大である。こうした時流の流れを受ける形で、同社もIndustry 4.0のほか、スマートアグリカルチャー、アセットトラッキング、スマートシティといった市場へと対象範囲を拡大しようとしているという。

Maximのセキュア製品のターゲットは従来、医療機器や決済端末、機器認証などであったが、2016年、ターゲットの範囲を大幅に拡大。さまざまな分野での適用を目指す戦略へと変更されてという

その尖兵となるのが10月に発表したDeepCoverセキュア認証用ICの新製品「DS28C36」だ。同製品は、P256ベースの楕円曲線暗号(ECC)アルゴリズムをサポートした非対称パブリック鍵およびSHA-256をサポートした対象鍵暗号ツール一式を搭載。従来は1つだけしか導入できなかった鍵の数も、最大3つの公開鍵と2つのプライベート鍵を搭載可能とし、幅広いニーズへの対応を可能にしたという。また、コンパニオンコプロセッサ「DS2476」も併せて用意。こちらは、ホストのマイコンが非力で暗号のための演算リソースが不足していたり、セキュアストレージがないアプリでもDS28C36を利用するためのものとなっている。

「DS28C36」の概要。2つのGPIOピンや4KビットのEEPROMなども内蔵しており、破壊的/非破壊的攻撃に対する防御も可能だという

そしてDeepCoverセキュアマイコンの最新製品となる「MAX32560」も11月に発表されている。こちらは、モバイルペイメント機器向け1チップソリューションの最新世代品で、従来ソリューション比で非接触インタフェース、RFアンプ、ISO7816 PHY、磁気ストライプインタフェース、バッテリ切り替え機能、メモリ拡張といった最大6つのコンポーネントを削減することを可能とするもの。PCI PTS(Pin Transaction Security)が求める要件に必要なすべてのセキュリティ機能を内蔵しているほか、EMV非接触リーダーフルインタフェース、2つのMEVスマートカードインタフェース、DSPベースの磁気ストライプリーダー、2チャネルのA/Dコンバータ、1チャネルのD/Aコンバータなども内蔵しているため、基板のさらなる実装面積削減も可能になるという。

「MAX32560」の概要。従来必要としていた6つのコンポーネントを1チップで可能とするCortex-M3搭載セキュアマイコンとなっている

Maximのエンベデッドセキュリティ担当エグゼクティブディレクタであるScott Jones氏

こうした新製品での取り組みについて、同社エンベデッドセキュリティ担当エグゼクティブディレクタであるScott Jones(スコット・ジョーンズ)氏は、「我々は安価なコンシューマ分野でも活用可能な認証ソリューションを提供することで成功を収めてきた。ホームオートメーションなどは、現在、とても興味のある分野で、IoTの進展により、市場の開拓が期待できる」とIoTの進展を背景に安価な認証ソリューションがさまざまな分野で求められていることを強調するほか、「チップレベルのセキュリティにこだわるのはもちろんだが、産業分野を中心に、セキュアなソリューションそのものの拡充を進めており、Maximとしても投資分野として、今後も積極的にセキュアマイコンや認証用ICなどの開発を進めていく」と、包括的なセキュリティの実現に注力していくとする。

また、コネクテッドカーに代表されるような自動車がネットワークに接続される時代も到来していることから、「自動車向けセキュアソリューションももちろん、計画をしている。すでに欧州の自動車メーカーとの連携を強化しており、さまざまなアプリケーションをセキュアにする取り組みが進められている」と、遅れを取っていないとする。特に、これまでは自動車のコンポーネントが純正部品か海賊品かを見分ける、医療分野での認証ノウハウを応用した程度であったが、現在は、V2Vの実現に向けた取り組みが進みつつあるとのことで、高パフォーマンス、高速、高セキュリティなソリューションができつつあるとした。

ちなみに、今はまだ詳しくは言えないと同氏は語ってくれたが、現在、同社は数年かけて開発を進めてきた次世代セキュリティ技術を搭載した製品を2017年上半期にローンチさせるべく準備を進めているという。この新技術について、「新しいアプローチによる技術」と表現するほか、「高度化するサイバー攻撃に対応していくために必要となる技術」とも説明しており、これにより競合との差別化を図っていき、さらなるポジションを確保したいという。

最後に、同氏にセキュアな半導体を活用するポイントを聞いたところ、「IIoTが中心になるが、多くの顧客が問題に直面するまで、問題を先延ばしにするということがセキュリティの分野では多い。問題に直面したときにソリューションを作ろう、という考えが強いわけだが、どういった脅威があって、その脅威に対して、どのように防護すればよいのか、現在はそれを知った上で、先手を打っておく必要がある時代になった。我々はすでにそうしたノウハウの多くを有しており、テクノロジーでも製品的にも良いポジションに居る」と、顧客のビジネスでの成功が第一であり、それが為しえて初めてMaximの成功につながると語ってくれた。

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