小型車の国内販売で年間10万台を目指してきたスズキが、その目標をついに達成した。2016年の暦年販売台数は12月22日時点で10万592台に到達。このタイミングで主力小型車「スイフト」のフルモデルチェンジを行い、年度での10万台達成もほぼ確実なものとした。悲願達成後のスズキは何を目指すのだろうか。

主力小型車の「スイフト」をモデルチェンジ

新車投入効果で販売台数が増加

スズキの国内小型車販売台数を見ると、ここ10数年は年間6万台から9万台の規模で推移していた。2015年後半からは「エスクード」、「イグニス」、「バレーノ」、「ソリオ」のハイブリッド搭載モデルといった新型車を集中して投入。その効果もあってか2016年暦年の小型車販売は好調に推移し、10万台という目標に到達した。新型スイフトの発表会に登場したスズキの鈴木俊宏社長も、目標達成の要因は新車投入効果によるところが大きいとの認識だ。

これまで、国内の小型車販売台数は10万台に届きそうで届かなかった

2016年度で見た場合の小型車販売台数はどうか。スズキの国内第一営業本部長を務める鈴木敏明常務によると、2016年4月から11月までの実績は前年比144%と好調な様子だ。フルモデルチェンジを実施し、2017年1月4日に発売する新型スイフトは、初売りの効果などもあり、2016年度の小型車販売台数を押し上げる要因となるだろう。

次は本当の実力を蓄えるフェーズに

10万台という目標を達成し、次なる目標について質問を受けた鈴木社長は、「(年間10万台の国内販売を)安定して続けること」と答えた。今回の目標達成は新車投入効果によるところが大きいと見る鈴木社長は、スズキには年間10万台の小型車を国内で売り続ける実力は現時点でないと分析。これを安定して達成できるようになるのが先決との考え方を示した。

スズキが小型車の販売台数にこだわり、このセグメントで商品力の向上に注力する背景には、日本における軽自動車市場の冷え込みがある。鈴木常務によると、増税の影響で軽自動車の販売は全銘柄で落ち込んでおり、スズキも2016年1月から11月までの実績で前年比92%という状況だという。軽自動車と小型車で勝負するスズキとしては、軽の落ち込みを小型車でカバーするのは至上命題だ。

2004年の発売以来、世界で累計530万台を販売しているスイフト。スズキにとってスイフトは、「走る楽しみという部分で(同社を)牽引していくフラッグシップモデル」(鈴木社長)だ。新型は先代になかった「マイルドハイブリッド」を搭載してパワーユニットが多様化。新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用し、走行性能も向上しているという

日本国内の小型車事業に関しては、安定的な実力を身に付けるのが最優先とするスズキ。国内の小型車市場は、2016年11月に発売となった日産自動車「ノート」が好調な売れ行きを示しており、2017年も各社が有力車種のモデルチェンジを予定するなど、厳しい販売競争が続く。スイフトの投入で「2017年は(国内小型車販売台数の)最高記録にチャレンジ」(鈴木社長)するというスズキだが、並み居るライバルの中で、10万台体制をキープできるかどうか。新型スイフトの売れ行きと小型車販売台数の推移に注目したい。