iOSに標準装備の『メール』は、強力な分析機能を備えている。メールを受信すると内容を自動的にチェックし、『連絡先』に未登録の人物と判断すれば登録を促してくれるし、日付けや住所があれば『カレンダー』のイベント候補も用意してくれる。
この分析機能は、メールの内容をデータベース化しているからだ。同等の機能を備えるmacOSの『メール』を見ると、SQLiteというデータベースエンジンにより受信したメールの内容をデータベース化、高速な検索を実現している。システムの共通化が進行しているiOSとmacOSの関係からすると、iOSの『メール』も同じしくみを採用していると推測される。
新規メール作成画面で宛先に文字を入力すると、これまで受信したメールに記載があるアドレス(送信者やCCに記載されたアドレス)のなかから一致するものが候補に表示されるが、それも『メール』の分析機能によるもの。メール送信者がデータベース化されているから、『連絡先』に登録がなくても一瞬で候補が表示されるのだ。
この機能は便利だが、現実の情報に基づいてデータベースが日々更新されるわけではない。退職やプロバイダの変更などで使われなくなった古いメールアドレスまで候補に表示されてしまうため、混乱することがあるのだ。存在しないアドレス宛てにメールを送信しないためにも、今後宛先に使用することがないアドレスは発見次第データベースから取り除いたほうがいい。
その手順は、意外にかんたん。宛先候補に表示されたメールアドレスの情報画面を開き、そこにある「最近使った項目から削除」をタップすればOKだ。長くiPhoneを利用していると、かなりの数の宛先候補が表示されることだろうが、誤送信を予防するためにもときどきは実行したほうがいいだろう。