4年ほど前だろうか。グーグルが開発したメガネ型ウェアラブルデバイスのグーグルグラスが話題になった。近未来を予感させるフォルムに心を躍らせた人もいたはずだ。しかし、評判は決して良いものではなかった。グラス着用者の入店を拒否する店舗が出るなど、プライバシーへの配慮といった問題を残しつつ、プロジェクトは解体。グーグルグラスは日本に上陸することなく消えた。以降、メガネ型デバイスの話題性は小さくなった印象が強いが、それでも開発を続けている企業はある。そのひとつがメガネスーパーだ。

メガネスーパーが開発するメガネ型ウェアラブルの「b.g」

メガネ型デバイス開発の経緯

メガネスーパーがメガネ型ウェアラブルの開発に取り組み始めたのは、およそ2年前。スマートフォンでは充足できないニーズの存在、AR/VRの進展、メガネ販売店としてのノウハウの活用を考慮したときに浮かんだのがメガネ型デバイスだった。

スマホで満たせないニーズ。それは、農作業、工場での作業、台所での料理などスマホに手を伸ばせないような状況でも情報を得たいといったものだ。メガネ型デバイスであれば、ディスプレイを通じて、ハンズフリーの状態で装着者に情報を提供できる。

たとえば、何かの組み立て作業をしているとする。デバイスを装着した利用者に映し出されるのは目の前の現実世界。そこでひとつの作業を終えると、二つ目の作業工程がディスプレイに表示される。ディスプレイには現実世界を映し出しつつ、次の作業工程も同時に提示する。デバイスの装着者は、初心者であっても、指示に従えば、その物体の組み立てが可能になるといったものだ。

こうした拡張現実と呼ばれるARをはじめ、仮想現実VRの活用はこれからが本番であり、ウェアラブルデバイスの出番もある、と踏んだわけだ。

b.gのデモ。青い部品の上のマーカーを読み取ることで、部品の取り付け操作を確認することが可能

そうした中で、デバイスの開発にメガネ屋のノウハウを注ぎ込もうというのがメガネスーパーである。実用性、利便性、かけ心地に配慮した製品開発に取り組み、開発版「b.g」を作り上げた。開発版は今年1月開催のウェアラブルEXPOに参考出展された。