2017年度、子育て支援はどう変わる?

政府は12月22日、2017年度における国の予算案を閣議決定した。この中で、子育て支援はどのように変わっていくのだろうか。厚生労働省の予算案を参照し、まとめてみた。

保育園整備に補助、保育士の待遇改善も

厚生労働省では「希望出生率1.8の実現」を目指し、子育て支援の重点項目として、「(1)待機児童の解消・保育人材確保」、「(2)女性・若者の活躍推進」、「(3)総合的子育て支援の推進」の3つを挙げている。

このうち「(1)待機児童の解消・保育人材確保」の主な施策としては、

・保育園等の整備費補助、設置の際に地域住民との合意形成を進める「地域連携コーディネーター」の配置など(710億円)
・放課後児童クラブの施設整備費の補助率かさ上げを継続、運営費補助額を増額、職員の経験等に応じた処遇改善を実施など(93億円)
・保育士に対する2%(月額6,000円程度)の処遇改善、経験年数の多い保育士に対する追加的な処遇改善、保育士に対する借り上げ宿舎費補助の対象者を拡大など(209億円)

といった項目に予算がつけられていて、保育の場所・人材確保に力点が置かれていると言えるだろう。

マタハラ防止の周知や、妊娠期~子育て期にわたる支援に重点

次に「(2)女性・若者の活躍推進」では、2017年から施行される改正育児・介護休業法や、マタハラなどの防止に向けた事業主の対応を新たに義務付けている改正男女雇用機会均等法の周知・指導に予算が割かれている印象。

さらに「(3)総合的子育て支援の推進」では、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の実施(207億円)、児童虐待防止対策の強化・社会的擁護の推進(1,490億円)、ひとり親家庭等の自立支援の推進(2,056億円)などの施策が盛り込まれていて、どんな状況の親子に対しても、行政によるケアを行き届かせる内容となっている。

働き方改革は"横断的な課題"とし、生産性向上を目指す

また厚生労働省は今回の予算を組むにあたり、「横断的な課題」として「働き方改革と生産性向上」を挙げている。このうち、働くママ・パパにとっては以下の施策が関わってくるだろう。

・長時間労働の是正に向けた法規制の執行強化(10億円)
※月80時間超の残業が疑われる事業所に対する監督指導の強化など
・テレワークの推進(16億円)
※仕事と子育てとの両立を支援するサテライトオフィスを活用したモデル事業の実施など
・勤務間インターバルの自発的導入の支援等(21億円)
※勤務間インターバルを導入する中小事業主への支援など

2016年は「保育園落ちた 日本死ね」が流行語大賞のトップ10に入るなど、子育てや保育に対しての関心が高まった年となった。2017年、どんな親であっても、子育てしやすい環境整備がますます進むことを願いたい。

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