Appleの2016年を振り返る際に、古いデザインや仕組みの排除というトピックがある。これはAppleにとってはお家芸ともいえるようなことだが、直近の製品であるMacBook Proからは、MagSafe2、USB-Aポート、Thunderbolt 2ポート、HDMIポート、SDXCカードスロット、そしてファンクションキーまでなくなった。

Touch Barという新しいインターフェイスが配置されたMacBook Pro

ファンクションキーがあった部分にはTouch Barという新しいインターフェイスが配置され、上位機種にはThunderbolt 3ポートが4つ配置されて、MagSafe2などの「代替」ということにされた。確かに左右のどちらからでも充電できるのは便利だが、周辺機器は総入れ替えとなるか、アダプタをたくさんつけることになる(この解決については、別の記事で)。

そしてiPhone 7、iPhone 7 Plusからはヘッドホンジャックがなくなった。その代わり、音楽はワイヤレスで聞くものだ、と説き、AppleブランドのBluetoothイヤホン「AirPods」と、参加のBeatsブランドからイヤホン/ヘッドホンが計3機種リリースされた。

そんな中、当初10月末に発売予定としてきたAirPodsは、結局感謝祭前には間に合わず、12月13日に登場と相成った。待ち望んでいた人が多かったということだろう、発売日に用意されていた分は全て予約完売で、米国時間の当日夕方の段階では4週間待ち、現在では6週間待ちという状況だ。運良く注文を入れることができた人は、12月19日に手元に届いたようだ。19日からApple Store実店舗でも販売が始まったが、量販店のオンラインや店頭で販売される分を狙う以外は、クリスマスプレゼントとして入手するのが厳しい状況になっている。

Appleは多くの場合、発売してからなるべく途切れることなく製品を販売し続けられるよう、ある程度の在庫を蓄積できるタイミングで新製品をリリースする。

スティーブ・ジョブズ氏が新製品を発表する際、「Today」のスライドが印象的だったが、日本で「Today」のスライドを見た翌朝にApple Storeにいってみると、チャンとその製品が展示、販売されているのだ。

秘密主義で新製品の情報を隠しながら準備を進め、発表で一気に注目が高まる瞬間を作り、「今日から買える」と注目を需要に変え、その需要を全て捌けるようにする。サプライズとそれをすぐ手に入れられる体験を顧客に与えてこられたのは、Appleのサプライチェーンマネジメントの凄さとイコールである。

しかし最近、「Today」の文字は、WWDCで開発者向けの新OSのベータ版がリリースされるときぐらいしか見かけなくなった。

現在も品薄な状態が続いているiPhone 7シリーズ

iPhone 7は9月7日に発表され、2日後に予約を受けつけ、9月16日に発売となった。しかし12月中旬になっても、iPhone 7を思うように手に入れることはできない。目玉となる新色のジェットブラックはもちろんのこと、キャリアによってはiPhone 7 Plusのラインアップは全般的に、米国でも思うように手に入らない状況だ。

MacBook Proは発表されて翌日に購入できたのはTouch Bar非搭載モデルのみで、こちらも目玉となる上位機種のTouch BarとTouch ID搭載モデルは11月中旬を過ぎなければ手に入らなかった。

そしてAirPodsは、発売日の分がなくなってからは4~6週待ちという状況だ。Appleが需要を少なく見積もりすぎているのか、製造が追いつかないのか。iPhone 7 Plusについてはその両方かもしれないが。