PCを含んだデジタルデバイスの未来を「Cortana」が担うと筆者は確信している。MicrosoftはすでにCortanaをWindows 10とWindows 10 Mobileだけでなく、iOSやAndroidにも展開しているが、WinHEC 2016でIoT分野に拡大する可能性を提示した。

WinHEC 2016でプレゼンテーションを行ったMicrosoftのMay Ji氏 (以下、公式動画より抜粋)

MicrosoftはCortana体験を向上させるため、デバイスパートナーに「Far-field Voice」「Wake on Voice from Modern Standby」という2つの機能実装を求めている。前者は、最大4メートル離れた場所からCortanaにアクセスし、音楽再生などを可能にするための動作保証だ。そして後者は、スタンバイ状態のデバイスを「Cortanaさん」と話しかけることで起動する機能である。

音声認識が可能な距離を0.5/0.8/4メートルで区切る

上図で示したようにMicrosoftはCortanaをサポートするデバイスとして、「標準」「プレミアム」という2つのランクを定めている。標準は「Cortanaさん」との呼びかけに応答できる距離を0.5メートル以内に、プレミアムは0.8メートルから4メートルの範囲に定めている。標準は自宅などの机上に設置したPC、プレミアムはキッチンなど広い室内での利用を想定している。また、この機能をPCやスマートフォンに留まらず、IoTデバイスにも展開する計画だ。

これらの施策を推進させるため、Microsoftは「Cortana Skills Kit」「Cortana Devices SDK」をリリースした。Cortana Skills Kitは開発者向けのツールキット。Cortana Devices SDKはOEM/ODMデバイスベンダー向けSDKであり、すでにMicrosoftは幅広いパートナーと協力して、Windows 10 IoTやLinux、Androidなどクラスプラットフォームのサポートを実現しようと動いている。

IoTデバイスでもCortanaが利用可能になる

WoV (Wake on Voice) を実現するためのプラットフォーム。プレミアムデバイスの場合はオーディオ録音バッファサイズとして100~200msを確保しなければならない

本件で興味深いのが、YouTubeに公開したこちらの動画だ。オーディオブランドとして有名なHarman/Kardon製デバイスの発表を匂わせている。動画ではCortanaの効果音が鳴り、前回の記事で述べた「Amazon Echo」など音声アシスタントデバイスの対抗馬に位置付けられる。2017年はCortanaが目指す「真のパーソナルアシスタント」が具現化しそうだ。

2017年のリリースを予定しているHarman/Kardon製のデバイス(公式動画より抜粋)

阿久津良和(Cactus)