【レポート】

2017年にはPSoCとの統合も検討-Cypressの最新開発環境「WICED Studio 4.0」

Cypress Semiconductorの日本法人である日本サイプレスは12月12日、同社のWICED Studio 4.0に関する記者説明会を開催した。WICED Studioは元々はBroadcomが開発していた、同社のWICED製品向けの開発環境である。ただ2016年7月に同社のWireless IoT BusinessをまるごとCypressが買収した結果として、現在はCypressの傘下で開発が続けられている。

Broadcom時代、WICED関連の開発環境としてはBroadcom CommunityからWICED IDEとWICED SDKが提供されていたが、4.0ではこれをStudioと名称を変えることになった(Photo01)。特長はSDKの中で主要なプロトコルやサービスをすべてカバーしており、またWi-Fi/Bluetooth/ZigBeeをすべて網羅していることである。またWICED StudioにはExpressLogicのThreadXのフリー版のライセンスも含まれており、これを利用することが可能になっている(Phtoo02)。

Photo01:本当はBroadcom時代にこれをリリースしたかったのかもしれない

Photo02:MCUごとの細かな違いはThreadXで吸収する、というあたりがFree版を搭載する狙いなのかもしれない

サポートされるMCUとしては、旧BroadcomのMCUのほかにSTMicroelectronics/NXP Semiconductors(旧Freescale Semiconductor含む)/Microchip Technology(旧Atmel含む)のMCUが挙げられている(Photo03)。これらは基本的には汎用のMCUであるが、ここにWICED対応のモジュールを組み合わせることで利用できる形だ。

Photo03:Cypress自身のPSoCあるいはFMシリーズについては後述

動作環境としては、ライブラリ/ミドルウェア/OSの形で必要なライブラリがすべて提供されており、アプリケーションはWICED Application Frameworkを叩くだけで良いという仕組みになっている(Photo04)。

Photo04:このあたりは、例えばmbed OSとかRenesas Synergyの構造に非常に近い。要するに目的が一緒だと構造も必然的に似た形になるということか

また対応するWICEDモジュールであるが、こんな具合だ(Photo05)。

Photo05:なぜZigBeeかという話も後述

このうちZigBee対応のCYW20729、それとBluetooth 5.0対応のCYW20719は2016年11月にミュンヘンで開催されたElectronica 2016で発表されたばかりの製品である。

ちなみに会場ではWICEDの開発キット(Photo06)にWICED Studio 4.0を組み合わせて(Photo07)、周囲のアクセスポイントの一覧を取得するという簡単なデモも実施された(Photo08)。Wi-Fi/ZigBee/Bluetoothを同一環境で簡単に扱える、というのがWICED Studioのメリットであることを示した形だ。

Photo06:評価ボードの型番などは不明。Wi-Fiモジュールにもシールドが無く、社内の開発用のものの可能性もある

Photo07:ちょっとみにくいが、初期化が終わった後で wiced_wifi_scan_networks() を呼び出すと一覧が取得されるので、それをWPRINT_APP_INFO()で出力し、一定時間(5秒)待つという無限ループである

Photo08:実行中の結果。SSIDやSecurityの種類、BSSID、Channelなどが表示されているのが判る

さて発表内容は概ね以上だが、若干補足情報を。まずは既存のPSoC/PRoCベースのEZ-BLE製品とのマイグレーションである。現状Cypressは今回のWICED製品とEZ-BLE製品の2つが独立して存在している形であるが、Jeff Baer氏(Senior Director Product Marketing, Embedded RF。前職はBroadcomのDirector,IoT Marketing/Business Development, Embedded RFで、買収に伴いそのままCypressに移籍した)によれば「2017年後半には両方の製品群を統合することを考えている」との事。また開発環境も、現在はWICED StudioとPSoC Creatorという異なるものが提供されているが、これも統合されたものを提供してゆくという話であった。

また11月に同社としては初めてBluetooth 5.0に対応した「CYW20719」をリリースしたが、既存の製品については「Bluetooth 4.xとBluetooth 5.0ではラジオの仕様などが異なっているので、ファームウェアやドライバのアップデートだけでは解決できない。なので現状の製品は引き続きBluetooth 4.xのみのサポートになる。ただし2017年にはBluetooth 5.0対応製品をたくさん出す予定だ」という話であった。

最後にZigBee対応の「CYW20729」であるが、これについては「ZigBeeを出す理由はThreadへの対応であって、なので現状はZigBeeの対応だが、Thread Groupとは密な関係をとっており、Threadへ対応することを考えている」という話であった。

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