12月10日公開の映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』は、テレビ朝日系で現在好評放映中の『仮面ライダーエグゼイド』と、今年9月に終了した『仮面ライダーゴースト』が夢のタッグを組むと同時に、ウィザード、鎧武、ドライブという歴代「平成仮面ライダー」までもが参戦。5人の仮面ライダーがそれぞれの特殊能力を生かして巨大な悪に立ち向かうという、豪華絢爛なビジュアルが実現した。

棚橋弘至選手

ライダーたちを迎え撃つ「Dr.パックマン」の仲間の一人、ロボルバグスターに変身する来瀬荘司を演じたのは、新日本プロレス所属の人気レスラー棚橋弘至選手。大の「仮面ライダー」好きを公言する棚橋選手が、憧れの仮面ライダーと対峙する強敵悪役をどのように表現したのか。その熱き思いの数々をじっくりとうかがってみた。

――バラエティ番組『アメトーーク!』の「仮面ライダー芸人」にも出演され、ライダーへの熱い思いを語られていた棚橋選手にとって「仮面ライダー」映画への出演は念願だったのではないですか?

棚橋:そうですね。でもうれしさととまどいの両方が駆け巡りました。僕にとって「仮面ライダー」は「観る」ものであって、「出る」ものではなかったですからね。まず「僕が出てもいいのかな……」という気持ちが先にあったんです。それでも、大好きな「仮面ライダー」シリーズに出演することができるという喜びは何よりも大きく、こちらの気持ちのほうが勝りましたね。

――今回の映画で演じられる来瀬荘司という人物について、どんな思いを持たれましたか。

棚橋:敵の幹部という役回りですから、映画の中でちびっ子たちに「こいつをライダーが倒してほしい!」と思ってもらわなければならない存在。そういった悪役を演じなければならないという責任がのしかかりました。悪役というのは、プロレスラー棚橋には無い部分なんですよ。

――普段の棚橋選手とは全く違うキャラクターとして出られるわけなんですね。

棚橋:そうなんです。僕はリングの上でも外でもオンやオフがなく、常にベビーフェイス(善玉)なので、今回のお話をいただいたときは、「ついに悪の部分を出すときが来たか……」と思いました。いつもは新日本プロレスのアイコンとして、どんなところでも明るく、元気で、強くて、タフでというイメージだと思いますが、それとはまったく異なるワルな感じを出すことは、けっこう楽でした。

――坂本浩一監督はアクション演出のダイナミックさで人気の高い方ですが、坂本監督の印象はいかがでしたか?

棚橋:アクションシーンは、全体的に多めですね! 普段のプロレスの試合と映画のアクションとは根本的に違いますが、お互いに影響しあう部分もあるんですよ。坂本監督のアクション演出にはかなり影響を受けました。自分にとっては日々の生活が修行ですから、今回の映画で身につけた動きを、プロレスに生かしてみたいなと思っています。映画では、プロレスラーというバックボーンを生かした、迫力のあるアクションが繰り広げられます。プロレスファンが見たらニンマリしてくれるようなシーンもあると思いますので、そこは期待してほしいですね。

――ロボルバグスターに変身するシーンもありますね。

棚橋:変身といっても、ガシャットを体に埋め込むだけなので、ポーズなどはないんです。『仮面ライダーW』のドーパントと同じようなパターンですね。でも、来瀬は3人の幹部の中でもパワー系という設定なので、ガシャットを握りつぶすかのような力強い持ち方、構えを意識してやってみました。

――歴代ライダーが変身前の状態で勢ぞろいし、来瀬が「奴ら……全員仮面ライダーか!!」と驚くシーンが印象的ですが、これって棚橋選手としては最高にうれしいシチュエーションなんじゃないですか。

棚橋:あのセリフは燃えましたね! 「全員仮面ライダーか! 知ってたけど!」(笑)。現場では、僕が一番喜んでいたと思います。観ている子どもたちにとっても、5人のライダーが勢ぞろいして、アクションに流れていくまさに直前ということで、もっともテンションが高まる場面ですよね。

――今回はバグスターとしての出演でしたけれど、今後は仮面ライダーを演じてみたいと思われますか?

棚橋:ヒーローとしての仮面ライダーもやってみたいですけれど、ファンとして世界観を壊したくないので、悪役からいきなりヒーローへチェンジはできないと思うんです。でもできるならば、悪の仮面ライダーを……(笑)。

――ロボルバグスター=来瀬としては、エグゼイドを倒す自信はありますか?

棚橋:来瀬という人物は肉体派でありながら頭脳派でもある。しかもバグスターに変身することができる。実は一番強いんじゃないかと思っています。エグゼイドだけでなく、5人のライダーとのハンディキャップマッチでもいけるんじゃないかってくらいです(笑)。

――そもそも、棚橋選手がリング上で『仮面ライダーカブト』を思わせる「逸材ポーズ」を取るようになったのには、なにかきっかけがあったのですか?

棚橋:もともとプロレスを始めたときから「仮面ライダー」が好きで、自分も仮面ライダーみたいな存在になりたかったという思いがあったんです。新日本プロレスがピンチのとき、救世主のように現れて、状況を一変させるような存在になりたいという。

一時期、ベビーフェイスなのに、すごいブーイングを浴びていたことがあったんです。「一生懸命頑張ってます!」みたいな態度だと、全然ブーイングが収まらない。そこで、シフトチェンジをして、「俺って最高なのに、どうしてみんな俺の良さがわからない」っていうような、生意気な方向にしていったんです。それが『仮面ライダーカブト』の天道総司そのままのキャラクターだったんですね。

天道が"俺様"風なセリフを言うとキザでカッコいい。同じようなセリフを僕が言うことで、よりナルシストっぽい感じになって、これがバッチリはまったんです。でも、初めは「仮面ライダー」が好きだって公言していなかったので、プロレスファンにはこのポーズ(人差し指を頭上にかかげるカブトの決めポーズ)が「仮面ライダー」からだとわからなかったんですけど、この前の『アメトーーク!』出演で、完全にバレてしまいました(笑)。

――棚橋選手にとって、「仮面ライダー」の魅力とは何でしょう?

棚橋:どんなにやられても立ち上がる「強さ」ですね。平和を守る、人々を守るというしっかりした目的があるから、フォームチェンジしたり、頼もしい味方が現れたりして、日々強くなっていくんです。やられてもやられても、あきらめず強くなる姿勢は、まさしく仮面ライダーから学び取ったものですね。

(C)「エグゼイド&ゴースト」製作委員会
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