【レポート】

住宅購入、マンションと戸建てはどっちがお得?

以前は、マンションを始めから選択される方と戸建て志向の方とは明確に分かれていたと思いますが、不動産価格が手ごろになったこともあり、相談される方には、どちらもあわせて検討されるケースが少なくありません。

実はこの二つのメリット・デメリットにその方の考え方を照らし合わせて説明するのは意外に難しいのです。表面的な解説は簡単ですが、それでは判断のごく一部でしかなりえません。

子育てはどちらがメリット?

子供にとって、最も大切なのは外部からの情報です。凶悪犯罪を犯した子供の住環境研究報告によると、そうした子供の自室は、窓が家財等で塞がれて外部の音や気配から遮断されていたり、家族の部屋や居間から遠かったりしているそうです。以前のコラムでも述べたことがありますが、子供には通りから「遊びましょう!」と声が受け取れる環境が何よりも大切なのです。

その点は戸建てに軍配が上がりますが、都心部には多くの教育機関が集中し、グローバル化に向けての子供の教育には大きなメリットがあります。また周辺の公園などの環境面も大切です。私が住む地域はどちらかといえばマンションが多いエリアですが、多くの公園があり、どこも子供でいっぱいです。

DINKSにはどちらがお得?

DINKS(子供のいない共働き夫婦)にとっては、やはり都心の利便性の高いマンションが便利だと思います。鍵一つで戸締まりができ、庭の管理も不要です。しかし、当人が「木造の住まいが好き」「土の庭がぜひ欲しい」「戸建てが良い」等の要望があるのであれば、また別の問題です。当人たちにとって何がしたいか、どんな暮らしを望んでいるかが大切です。

老後はどちらがメリット?

高齢になったら住み慣れた戸建て住宅を売却し、利便性の高いエリアの小さなマンションを購入するケースがあります。年をとると、二人住まいには広すぎる住まいの維持管理、庭の手入れなどを負担に感じていきます。エレベーターがあり、基本バリアフリー、断熱性能も高く、鍵一つで外出できるマンションは高齢者にとって大いにメリットがあります。しかし、近所づきあいが楽しいので、今の戸建てに住み続けたいなど、高齢者のニーズもさまざまです。

一方、リバースモーゲージの対象は通常戸建て住宅のみです。子供がいない夫婦や子供が住まいを継承しない場合など便利な制度です。土地を担保に、住みなれた住まいに住み続けながら、生活資金の融資を受け、夫婦が亡くなった時売却して返済する制度です。

災害に強いのは?

住まいは家族の健康と生命、財産等を守る器ですので、安全は最重要ポイントです。災害のリスクは建物種別の前に、地域性による要因があります。海に近い、川に近い、海抜が低い、地盤が悪い、がけ等の下、または上、木造密集地域など、災害のリスクが高い地域かどうかの見極めが最初です。それに対してマンションのリスク、戸建てのリスクを照らし合わせて考えます。

低海抜エリアや密集地域などは、災害的にはマンションの方に軍配が上がりそうですが、戸建て住宅は鉄筋コンクリート構造もあり、災害リスクを小さくする間取りや性能の工夫も可能です。火災保険料は地域と建物構造で決まるので、特約項目以外は地域と構造が同じであればマンションも戸建ても変わりません。

資産としてはどちらがお得?

建て替えやメンテナンスは自分のライフプランや資金などに合わせて自由にできます。建物はいずれ老朽化しますが、土地は永久に存続します。一方マンションは自分の都合どおりに建て替えになるとは限りません。よほど立地条件が良くない限り、年数とともに資産価値が下がり、売却価格が低下します。建て替えにも時間がかかります。

原則資産価値は戸建てに軍配が上がりそうですが、23区内の戸建て住宅であっても、土地が狭く、駅から遠いと空き家化する傾向にあります。今や空き家問題は地方の山間部だけの問題ではありません。対極にある都心部でも空き家が発生する時代なのです。

日本の不動産市場は中古物件を不当に低評価してきました。政府は資源保持、健全な不動産流通体制の確保のために、この状況を打破しようと、いろいろな制度を考えてきましたが、なかなか効果は得られてきませんでした。今後中古市場が本来あるべき姿になり、優良の戸建て住宅やマンションが正当に評価されるとまた違った局面が見えてくるかもしれません。

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

※画像は本文とは関係ありません

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