名古屋名物・味噌煮込みうどんの専門店「山本屋本店」。メニューには、「味噌煮込うどん」以外のうどんメニューがなく、全ての客が注文するといっても過言ではないが、実は、知る人ぞ知る隠れ人気メニューがある。この時期にぴったりの「味噌もつ鍋」だ。

「味噌もつ鍋1人前」(2,052円/写真は2人前・うどん付き)。味噌で漬け込んだ国産牛ホルモンがたっぷり。もつ鍋のほか、味噌漬け純系名古屋コーチンのコーチン鍋、黒豚ロース鍋もある(ルーセントタワー店は三河豚ロース鍋に。栄中日ビル店はもつ鍋のみ)

本場・博多にはない赤味噌仕立てのもつ鍋

味噌もつ鍋の主役は、味噌ダレに一昼夜漬け込んだ"もつ"。これを味噌仕立ての土鍋で、たっぷりのキャベツやニラなどと一緒に炊いて食べる。国産牛のもつは、新鮮でぷりぷりとろとろ。口の中に脂の甘みがじゅわっととけ出すと同時に、味噌の濃厚なコクもまた広がる。本場・博多のもつ鍋とはひと味もふた味も違う、名古屋らしい味わいだ。

赤味噌にしっかり漬け込まれたホルモン=もつ。コラーゲンたっぷりで女性にも人気

鍋のシメでしか味わえない! 特製味噌煮込みうどん

"太くて固い"と称される、独特の手打ち麺

そして後半のお楽しみが、シメのうどん。ふだん、生の状態で見る機会のない"太くて固い"独特の手打ち麺を、自分で調理することができる。味噌やだしは、味噌煮込みうどんと同じものだが、もつのうまみや野菜の甘みが加わって、味にはいっそう奥深さが感じられる。レギュラーメニューとはまた違う、鍋のシメだからこその特製味噌煮込みうどんを味わえるのだ。

自分で調理した味噌煮込みうどんを食べられるのも鍋の楽しみ。もつのうまみがしみ込んで、通常の味噌煮込みとは違ったおいしさがある。麺の量は半人前なので鍋のシメとしてもちょうどよい

さらにもうひとつのシメとして、「玉子かけごはん」もある。温泉卵をのせたごはんに鍋のつゆをかけ、おじや風にしてかきこめば、ほかほかのごはんと玉子のまろやかさ、つゆのコクが混然一体に。さすがは名古屋メシ、シメのシメまでこってり濃厚だ。

具のうまみ、甘みがとけ込んだ鍋の味噌つゆをかけて食べる味噌鍋玉子かけごはん。生卵ではなく、温泉卵を使っているのも気が利いている

もつを漬けたり、つゆに使ったりする味噌は、味噌煮込みうどんに使うのと同じ、赤味噌ベースで独自にブレンドしたもの。だしも同じく、味噌煮込みと同じ宗田ガツオとムロアジの一番だしを使用している。土鍋もやはり、味噌煮込み用と同様に、伊賀焼の窯元の作。鍋料理ではあるが、味噌煮込みうどん専門店のノウハウが注ぎ込まれている一品と言える。

「博多のもつ鍋の人気店を食べ歩いて研究を重ね、なおかつあくまで味噌煮込みうどんの延長線上にある山本屋本店らしさを守ることを意識しました」。そう語るのは、同社企画室の永田剛典さん。もともとは、2007年にオープンした名古屋ルーセントタワー店のために開発された味噌もつ鍋。1店舗のみの限定メニューだったが、それから2~3年後、客の要望に応えて、他の店でも採用するようになったという(エスカ店、EXPASA 御在所店を除く)。

つまり、山本屋本店のレギュラーメニューとなってまだ6、7年ほどしかたっていない。そのため、まだ知らない人の方が多い"隠れ人気メニュー"的存在となっている。

断然お得な予約限定コース、忘年会&新年会にも!

さて、この味噌もつ鍋を食べるなら、覚えておきたいのが予約限定コース。こちらの方が断然お得なのだ。

通常料金は1人前2,052円(2人前より)。しかし、予約限定コースの場合、自家製漬物(おかわり自由)・一品料理3種・シメのうどん・デザートがついたAコースが1人前2,268円と、たった200円少々追加しただけで、一気に盛りだくさんになる。さらにBコースはトッピング盛り皿(ニラ、キャベツ、豆腐、かしわ)が加わって2,808円、Cコースはポテトサラダ、豚の冷しゃぶ、名古屋コーチンネギマが加わり3,780円となっている(2日前まで・3名以上の予約限定)。

お得な忘・新年会プランは1月31日まで。前日までに、2名以上で予約を

そして年末年始は忘年会・新年会プランとしてさらにお得になる。「味噌鍋お手軽プラン」は、通常のAコースに味噌鍋玉子ごはんがプラスされて、価格差はわずか54円の2,322円。他にも「女子会プラン」(2,592円)、「スタンダードプラン」(3,013円)、「トッピングコース」(3,920円)、「おつまみコース」(3,920円)と選択肢が増え、その上予約は前日まで・2名からとより利用しやすくなっている。

味噌もつ鍋は山本屋本店の11店舗で提供。写真は名古屋駅前店

名古屋人にとって山本屋本店の味噌煮込みうどんは、食べたことがない人はいない、というほどポピュラーな存在。名古屋駅や栄など、市内中心部にも店舗があるため、県外の人にも知名度は高い。だからこそ、この隠れメニューはよりいっそうの価値がある。

「山本屋本店? 行ったことあるよ」。そんな人こそ連れて行って驚かせたい、そして喜ばせたい"裏・名古屋メシ"だ。

●information
山本屋本店 名古屋駅前店
愛知県名古屋市中村区名駅3-25-9 第1堀内ビル地下1階(名古屋駅地下街ユニモール6番出口)
営業時間: 11時~22時(ラストオーダー21時半)
定休日: 堀内ビル休館日
アクセス: 名古屋駅桜通口より徒歩5分

※価格は税込

筆者プロフィール: 大竹敏之(おおたけとしゆき)

名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなど幅広い媒体で名古屋情報を発信。Webガイドサイト「オールアバウト」では名古屋ガイドを務める。名古屋メシ関連の著作を数多く出版。『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』『名古屋メン』『続・名古屋の喫茶店』(リベラル社)は自腹リサーチをコンセプトにしてご当地ロングセラーに。10月上旬にはご当地グルメコミックエッセイ『まんぷく名古屋』(KADOKAWA、森下えみこ著)に案内人として登場。