旅先で時間ができた時、自分好みの酒を探しに、1人で飲み比べができる専門店へ行ってみるのはいかがだろう。日常から離れた場所で、同行する人に気を使うことなく、味覚に全ての意識を向けられるひととき。今回は札幌から、店内にバーコーナーを設けたワインやクラフトビールの専門店と、日本酒好きが始めた飲み比べ専門バーを紹介しよう。

店長の稲見正治さん。日本ソムリエ協会公認ワインアドバイザーの知識と経験を生かして、わかりやすくワインの説明をしてくれる

札幌のワイン文化を支えてきた老舗ショップ

1件目の「ワインショップ フジヰ」は、札幌オリンピックが開催される前年の昭和46(1971)年、さっぽろ地下街開業と同時にオープン。日本でまだワインに親しむ習慣が広まっていなかった時代から、ワインの魅力を発信し続けてきた老舗だ。

2008年にさっぽろ地下街から現在の路面店に移転拡大オープンし、店内にスタンディングバーを開設。店舗の営業時間内は昼間でも気軽に立ち寄れ、手頃な料金で飲み比べができる。

バーコーナーで掘り出し物に出会えるかも

バーには常時7種類前後のワインがそろう。価格は1杯500円以下のものもあり、かなりリーズナブルだ。社内で毎週20種類、1年間に1,000種類以上の新商品をテイスティングしているので、人気の銘柄だけでなく、マニアックな掘り出し物との出会いも期待できる。

また、1本しか入荷できなかったレア物を多くの人に飲んでもらうため、店頭で販売せずにバーで提供することもあるという。購入のための試飲ではなく、バーとして楽しんでもらうことを大切にしているそうだ。

北海道産ワインや国産ワイン、スパークリングワイン、海外のワインの赤・白をバランスよく組み合わせており、どれも飲み頃のものが味わえる。リリースされた時にベストな飲み頃ではなかったワインは、仕入れ後に熟成させてから提供するとのこと。

北海道産ワインの品ぞろえが豊富。道内でも手に入りにくい銘柄がそろう

社長の藤井敏彦さんが北海道のワイナリーのPRに尽力していることもあり、北海道産ワインは必ず提供リストに入っている。道外ではなかなか手に入らない小規模な醸造家のワインも味わえるので、北海道のワインに興味がある人はぜひ立ち寄ってほしい。

バーの品ぞろえは毎週入れ替わり、ホームページで公開中のワインリストは毎週金曜に更新する。なくなり次第、ほかの銘柄に入れ替える場合もあるので、最新のラインアップは行ってみてのお楽しみだ。

土曜の試飲会もオススメ

また、土曜日には13~17時に、週ごとに異なるテーマで試飲会が開催される。20歳以上でワインに興味のある人なら誰でも参加可能だ。毎週スタッフがテイスティングしたワインを提供し、一部の高級ワインのみ有料だが、ほかは全て無料という太っ腹な企画となっている。年末などは試飲会を休む場合もあるので、ホームページで確認を。

ほかにも店頭では、北海道各地と国内外のワインに加え、ウイスキーやブランデー、リキュール、グラッパなどの洋酒も販売している。宅配便も利用できるので、自分へのお土産を選ぶのもいい。

ワインレッドの看板が目印。ソムリエやレストランのオーナーから一般のワイン愛好者まで、客層はさまざまだ

●information
ワインショップ フジヰ
住所: 北海道札幌市中央区南三条西3丁目1-2
営業時間: 11:00~20:00
※土曜日の13:00~17:00は、試飲会開催のためバーコーナーを休止
定休日: 第2・3日曜日(日・月曜日が連休の場合、日曜日は営業し月曜日が休み)